20~60歳の人が加入できる個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)。将来の備えとして注目されており、税制面の様々な利点があるが、いったいどういった制度なのか正確に理解していない人もいるのではないだろうか。メリット、デメリット、金融機関の選び方など含めてiDeCoについて紹介する。

iDeCo(イデコ)とはどんな仕組みなのか

iDeCo(イデコ)は、基本的に20歳以上60歳未満のすべての人が加入できる。60歳まで毎月最低月額5,000円から1,000円単位で一定の金額の掛金を支払い、その掛金で老後の資産形成を目的とした運用を行う。掛け金の運用先は、投資信託や定期預金、保険など数多くの金融商品の中から選ぶことができる。

  • 20歳~60歳未満が入れる
  • 掛金は毎月5,000円から1,000円単位
  • 運用先は投信や保険など多数

iDeCoの特徴の一つが、自分で運用方法を選べることだ。利用者は毎月支払った掛金をどのような金融商品で運用するかを自由に選べる。60歳以降に運用した資産を受け取るが、運用がうまくいっていれば積み立てた掛け金より多くなるが、失敗すると元本割れのリスクもある。つまりiDeCoでは、あなたの投資判断次第で将来受け取れる金額が変わるのだ。
出典:国民年金基金連合会 『iDeCoってなに?』

>>>詳しく読む
40代から始めるiDeCo(イデコ)の基礎知識(2018.9.19)
 

(写真=GaudiLab/Shutterstock.com)

iDeCo(イデコ)の3つのメリット 所得控除に運用益非課税など 

始める前にiDeCoのメリットを3つ確認しておこう。

iDeCoのメリット1――掛金は全額所得控除

iDeCo最大のメリットは、掛金が全額所得控除となることだ。年間の所得控除による節税額は、「年額掛金×税率(所得税、住民税)」で計算できる。30歳で掛金月額が1万円、所得税率10%、住民税率10%である場合、iDeCoによる年間の節税額は2万4,000円となる。さらに、この条件で60歳までの30年間、掛金の拠出を続けたとすると、節税額の合計は72万円だ。

iDeCoのメリット2――運用益も非課税に

通常、金融商品に投資を行った場合、運用益に対して、20.315%の税金が課税される。一方iDeCoの場合は、運用期間中に出た利益に対して課税されない。本来、税金で差し引かれるはずの資金を再投資に充てられるため、iDeCoは資金効率においても有利な制度と言える。

iDeCoのメリット3――受取時にも税制メリットを享受

iDeCoでは積み立てた資金の受取方法を選択できる。一時金として一括で受け取る方法と、年金として分割して受け取る方法だ。iDeCoを一時金として一括で受け取る場合は、退職所得控除の対象となる。iDeCoを年金として受け取る場合は、公的年金等控除の対象となる。

ただし、受け取り方には注意が必要だ。iDeCoは原則60歳以降に受け取りが可能となるが、60歳ですぐに受け取ってしまうと、勤務先の退職金の支給と重なり、退職所得控除をオーバーしてしまう可能性もある。一方で年金受取を選択すると、他の公的年金と合算して控除枠を大きく超えてしまう可能性がある。

>>>詳しく読む
40代で始めるiDeCo(イデコ) 3つのメリットを知る(2019.1.7)
 

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iDeCo(イデコ)の8つのデメリット 

様々なメリットがあるiDeCoだが、決して万能ではない。iDeCoの8のデメリットを押さえ、老後資金の準備に役立てたい。

  • デメリット1――運用中の資金は原則として60歳まで引き出せない
  • デメリット2――原則として中途解約ができない(※条件を満たすと解約可能で、脱退一時金を受け取ることができる)
  • デメリット3――口座開設や維持に手数料がかかる
  • デメリット4――運用を自分で決定する必要がある
  • デメリット5――運用成績によっては元本割れになる
  • デメリット6――収入が低い人や控除が多い人にとっては減税メリットが少ない場合も
  • デメリット7――60歳近くの人が新たに加入する場合はデメリットが大きい
  • デメリット8――企業の退職金と受け取る年が重なると税金が増えることも

    ポートフォリオの見直しをする場合は、デメリットも押さえておきたい。

    >>>詳しく読む
    iDeCo(イデコ)の「8つのデメリット」(2019.1.9)
     

(写真=Antonio Guillem/Shutterstock.com)

iDeCo(イデコ) 金融機関選びの4つの基準 

iDeCo(イデコ)をこれから始めるなら、金融機関選びが大切だ。一体どのような判断基準で選べばよいのだろうか。

基準1 手数料が安いか

どの金融機関を選択しても必要な共通の手数料もあるが、金融機関ごとに異なる手数料もある。

  • 加入時にかかる費用ーー国民年金基金連合会への加入手数料:2,829円(共通)、金融機関への加入手数料:金融機関によって異なる
  • 運用期間中にかかる費用ーー国民年金基金連合会手数料(拠出時):月額105円(共通)、事務委託先金融機関手数料:月額66円(共通)
  • 口座管理手数料:金融機関によって異なる

    iDeCoでは長期間に渡って運用し続けるため、各種手数料が安いに越したことはない。
    出典:iDeCo公式サイト『手数料について』

基準2 商品の種類が充実しているか

iDeCoに対応した金融商品の数は、多い金融機関で30以上のラインナップを取り揃えているが、少ない金融機関の場合は10前後やそれ以下のところもある。iDeCoに加入後、わずかな金融商品の中からしか投資対象を選べないということがないように事前に調べておく必要がある。

基準3 投資信託の信託報酬は低水準か

iDeCoで投資信託を購入し運用する場合、信託報酬という手数料が発生する。特にiDeCoでは長期間の運用が想定されることから、少しでも信託報酬が低水準の投資信託を取り扱っている金融機関を選択することが望ましい。

基準4 サポートは整っているか

iDeCoでは自分で運用方法を決定し、60歳まで運用を行なわなければならない。そのため金融機関からのサポートはとても重要だ。具体的なチェック項目としては、コールセンターの対応時間や窓口の営業時間、ホームページや資料の分かりやすさなどだ。

>>>詳しく読む
iDeCo(イデコ) 金融機関選びの4つの基準 どこで始めるのがいいのか?(2018.10.4)

iDeCo(イデコ)の投資先・金融機関を変更する方法

iDeCoの投資先や金融機関を変更する方法についてまとめてみよう。iDeCoにおける投資先の変更には、大きく分けて2つの方法がある。配分変更とスイッチングだ。

配分変更とは、今後買い付ける資産の割合を変更することを指す。現状の保有資産の売却は伴わない。一方スイッチングとは、現状の保有資産を売却し、その代金での新規資産の買付を行い、資産比率を変更することを指す。

やり方はiDeCoを開設した金融機関によって異なる。基本的には、各金融機関のホームページやコールセンターで行うことができる。また、確定拠出年金の記録業務を行う日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー(JIS&T)やSBIベネフィットシステムズで直接行う方法もある。iDeCoを開設した金融機関で確認を行おう。

ライフステージが変化するタイミング、保有資産に大きな価格変動があった場合など、自身のリスク許容度と、ポートフォリオの資産配分が大きくかけ離れないようにしたい。

>>>詳しく読む
iDeCo(イデコ)の投資先・金融機関を変更する方法(2018.12.14)

40代からiDeCo(イデコ)を始めるのは遅いのか

子育て中は何かとお金ががかかるため、「iDeCoは50代になって子どもが社会人になってから」と考える人もいるだろう。しかしiDeCoの掛金は拠出限度額が定められている上に、60歳から受け取るためには10年以上の通算加入期間が必要になる。40代のうちに始めてメリットを享受したいところだ。

45歳からiDeCoを始めた場合、15年間でも貯めることができるお金は、267万8256円、節税効果は75万1651円になる。一方、55歳から始めた場合は5年間で76万4496円、節税効果は22万4899円にしかならないうえ、受け取り開始時期は63歳からとなる。潤沢な老後資金を別に用意しておかない限り、これでは心もとないだろう。

教育費等が増加したことで毎月の生活費が増えて拠出が困難になった場合は、掛金額の変更・停止・再開もできる。その後生活にゆとりが生まれたら、再び掛金額を増やすことも可能だ。何もしないまま20年後を迎えても、時すでに遅しだ。

>>>詳しく読む
40代からiDeCo(イデコ)を始めるのは遅いのか(PR)(2018.9.13)

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構成・MONEY TIMES編集部