個人型確定拠出年金「iDeCo」(イデコ)を利用すれば、様々な税制優遇を受けられる。例えば年収500万円の40歳会社員なら、年間4万8,000円の還付金を受け取ることもできる。

毎月5,000円から始められる

iDeCo(イデコ)は、基本的に20歳以上60歳未満のすべての人が加入できる。60歳まで毎月最低月額5,000円から1,000円単位で一定の金額の掛金を支払い、その掛金で老後の資産形成を目的とした運用を行う。掛け金の運用先は、投資信託や定期預金、保険など数多くの金融商品の中から選ぶことができる。

  • 20歳~60歳未満が入れる
  • 掛金は毎月5,000円から1,000円単位
  • 運用先は投信や保険など多数

    iDeCoの特徴の一つが、自分で運用方法を選べることだ。利用者は毎月支払った掛金をどのような金融商品で運用するかを自由に選べる。60歳以降に運用した資産を受け取るが、運用がうまくいっていれば積み立てた掛け金より多くなるが、失敗すると元本割れのリスクもある。つまりiDeCoでは、あなたの投資判断次第で将来受け取れる金額が変わるのだ。

iDeCo(イデコ)の節税効果 年収500万、月2万円の掛金で4.8万円節税

iDeCoには数多くの節税効果がある。毎月の掛金についてはその全額が所得控除の対象となり、その結果所得税・住民税が安くなる。年末調整や確定申告で、納め過ぎた税金が還付される。

例えば年収500万円、40歳会社員が毎月2万円の掛金を支払った場合、年間で約4万8,000円節税できる。40歳から60歳までの20年間では合計96万円も税負担が減らせることになる。この節税効果は、iDeCoの運用成績とはまったく関係ない。

通常なら税率は約20%だがイデコなら非課税

iDeCoでは資産運用中に得た利益も非課税となる。iDeCoを利用しない通常の投資では、投資信託や預金で得た利益には所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%の合計20.315%の税金が課せられる。つまり100万円の利益を上げた場合は、20万3,150円が税金として差し引かれてしまう。ところがiDeCoの場合は資産運用中に得た利益が非課税となるため、100万円の利益が出た場合でも税金はかからず、そのまま100万円が手元に残る。

iDeCoで得た利益はそのまま運用に回されるので、利益がその後さらなる利益を生む複利運用が可能だ。雪ダルマ式に利益を生むので、効率の良い運用ができる。

60歳になって受け取る際にも節税メリットがある

60歳になって運用した資産を受取る際にも、節税のメリットがある。iDeCoでは、受け取り時に退職所得控除や公的年金等控除を利用することが可能だ。退職所得控除は会社を退職する際に支払われる退職金に掛かる税金を安くするための控除制度だが、これがiDecoにおいても適用されるのだ。公的年金等控除は、老後の年金を受け取る際の税金を安くするための控除制度だが、こちらもiDeCoに適用される。

運用した資産を受取る際には一時金、年金、一時金と年金の併用のいずれかの方法で受け取るが、どの受取方法を選択しても退職所得控除又は公的年金等控除の対象となる。

購入手数料もお得

iDeCoでの運用では金融商品の購入手数料を安く抑えられる。通常の投資信託は購入金額の1~3%の購入手数料がかかることが多く(ノーロードという無料の投信もある)、購入金額が多ければ多いほど手数料も増える。

一方、iDeCoで取り扱われているほとんどの投資信託では購入手数料は無料だ。

投資信託の運用管理費として支払う信託報酬も、iDeCoの水準は格安。通常の投資信託の場合は、投資信託の基準価格から信託報酬が日々差し引かれており、0.5~2%程度はかかる。iDeCoの場合は、金融商品によっても違うが0.1%程度からと比較的低水準だ。老後のための資産形成という目的なので、各種手数料が低水準であることはありがたい。

iDeCo(イデコ)の注意点 中途解約ができないことなど

節税効果の高いiDeCoだが、注意すべき点もいくつかある。

まず60歳までは運用中の資産を受取ることができないという点だ。途中で解約することも認められていないため、急にお金が必要になった場合でも資産は引き出すことはできない。したがって、掛け金は無理のない範囲で拠出することが大切だ。

iDeCoを利用するための口座開設費や維持費が必要なことにも注意したい。加入の際は2,777円の口座開設費が必要だ。運用期間中は毎月掛金納付の際に最低167円の手数料がかかる。

運用の結果は利用者の金融商品の選択によって変わり、資産が増えることもあるが、元本割れのリスクがあることにも気を付けてもらいたい。

多くの節税効果が見込めるiDeCo。まだ利用していないなら、検討してみてはいかがだろうか。

文・右田創一朗(元証券マンのフリーライター)
 

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