個人アンラーニングを進めるための組織の条件とは
その土壌を創るために、組織にはどんな要素が必要なのでしょうか。私は大きく3つあると考えます。
①支配型組織から自律型意識に
全てはトップが決め、社員はそれに従うようなトップダウンの戦略。さらには給料というアメと罰則というムチを使いながら社員を管理するのではなく、トップは社員の自主性や個性を尊重しながら、「ボトムアップから生まれる意志」によって駆動することが大事になります。
そのため、社長は絶対的な存在ではなく、社員の成長を後押しする存在になることが必要になります。
②ポテンシャルコントロール型からポテンシャル解放型に
人材を統制・管理しようと思っても、それは「アンラーニング」とは真逆の展開となることが多いです。なぜなら、人とは本来、「自分の思う通りに動きたいもの」だからです。
その人材のポテンシャルをコントロールすることは、その瞬間から、人としての本質的活性化(この場合だと、個人アンラーニング)することを手放すことになります。コントロールすべきなのは、人材ではなく、「成果」です。
大事なのは、「社員の潜在能力には限界がない」という前提のもと、ポテンシャルを解放させるためのマネジメントが必要になります。人の本質的本能的欲求の中心には「進化欲求」があります。
そうであるからこそ、「人をどう管理する?」と考えるよりも「その人の本来をいかに発揮するか?」と考えることが大切であり、もともと中心にある「進化欲求」をいかに掘り起こすか?を大事にしたマネジメントが大事になります。
③自律性が高い人材を採用する
個人のアンラーニングが進まないのは、全て組織側が悪いということではありません。個人の問題もあります。それが、個人の「自律性」になります。
先に述べた、「まず自分が変わることから始めよう」と真逆なのが、「悪いのは自分ではなく、組織側だ」というマインドになります。こういった他責は依存を生みます。
自分の考え・価値で生きる ⇒ 自律
他人の考え・価値で生きる ⇒ 依存 やがて 寄生
自分以外の考え・価値に頼ると、人は文句が多くなるようにできているものです。
そのため、自律性が高い人材の採用を徹底することも大事な要素になります。
<著者プロフィール>
黒澤伶
株式会社ITSUDATSU
代表取締役早稲田大学人間科学部卒。デル株式会社(現:デル・テクノロジーズ株式会社)、株式会社ビズリーチ(現:ビジョナル株式会社)、コーチングファーム取締役を経て、株式会社ITSUDATSUを創業。「ITSUDATSU(非直線的な現象)を再現性の高い世の中にする」という大義の下、要人材を起点とした独自の組織活性方法で累計300以上のプロジェクトを推進。現在、複数社の取締役CHRO(非常勤)を歴任。