”味覚の部屋”には、ロベール・メルシエによるアイスクリームをポップにデザインしたコスチュームや、「ル・ムーリス」のシェフ・パティシエを務めるセドリック・グロレ作ルービックキューブ型スイーツを展示。

味覚の部屋©︎GERONIMO

”官能”を通奏低音に、全ての作品をそれぞれの”感覚”と巧みに響き合わせており、部屋を移るごとに、各感覚が研ぎ澄まされ、展示されている職人のアート作品に対する感受性がどんどん強くなる。

視覚の部屋重たい質感のオブジェと軽い質感のオブジェを巧みに配し、見た目のコントラストにフォーカス©︎GERONIMO

照明はもちろん、スモークや鏡の写り込みなど、光と影を強く意識した演出が素晴らしく、空間演出を担当したゲネック氏に話を聞くと、谷崎潤一郎「陰翳礼讃」のファンとのこと。すとんと腑に落ちる。

影があるからこそ映える、職人技術をベースにしたアート。職人芸の魅力を深く評価できる日本でも、強く共感を得る展覧会。いつか是非、寺や神社、旅館など歴史ある建造物で、”オブジェ・サンシュエル”展を開催して欲しい。