実際、新店舗の雰囲気は従来の「無印良品」とさほど変わらない。違いは「大きな商品がなくなった」ことぐらいだろう。
スペースをとる収納具や衣類などを大幅に減らした結果、導線に余裕ができ、商品が見やすくなった。その分、台所雑貨など小物を増やした。500円以上であっても、化粧品やタオル類などは残している。買換えサイクルの短い商品に品揃えを絞り込んだのだろう。
「無印良品 500」は、
「月に1回を週に1回の頻度で足を運びたくなるようなお店づくり」
を目指すという。手頃な価格かつ見やすい店内の「無印良品 500」は、買い物でお決まりの「まずは100均」という経路を、「まずは無印」に置き換えるきっかけとなるかもしれない。
商品素材の変更次に、2つ目の施策、「リサイクル素材への変更」について。
無印には、「ムジラー」と呼ばれる愛好者や、一部のミニマリストなど固定客が存在する。彼ら(彼女ら)が無印を愛用する理由は、商品に統一感があること。そして、これら商品の販売が継続されることだ。
ムジラーやミニマリストたちは、部屋作りに、色(特に白色)やサイズ・デザインを統一した収納具を用いる。同じ高さの白い収納具で整えた美しい部屋。買い替え・買い増しをするときに「異分子」を混入させるわけにはいかない。
無印であれば、数年後であっても同じ色・サイズの商品が、高い確率で手に入る。同一商品が再入荷しないことが多い100円ショップ等と異なり、無印にはそういう信頼感がある。

無印良品の家 長崎店モデルハウス概要良品生活 プレスリリースより
ところが、無印は今回の経営計画で、「プラスチックはリユース・リサイクル・代替素材に100%移行する」と明言。第一歩として、「黒色リサイクルプラスチック(※)」や「紙」を素材としたファイルボックスを販売する、という。
※色抜きできないためリサイクルでは「黒色」にすることが多い
環境意識の高いムジラーやミニマリストたちからすれば「リサイクル」推進は共感できるだろう。だが、自分たちの部屋に「黒」や「異なる素材」が紛れることを許容できるだろうか。
ネットでは、「ニトリ」や「Standard Products」(ダイソー)などに、無印の模倣品があることが指摘されており、それらは「無印ジェネリック」と揶揄されている。ムジラーやミニマリストたちも、この「無印ジェネリック」に流れてしまうのではないだろうか。
家具のサブスクリプションは諸刃の剣最後に「家具のサブスクリプション(レンタル)」について。
無印は1年前から家具のサブスクリプションを行っている。これを今年2月より拡大。対象商品を、32アイテムから72アイテムへ倍増させる。

月額定額サービス開始のお知らせ良品生活 プレスリリースより
契約期間は1~4年。購入価格19,900円の木製ベッドの場合、支払総額は4年契約で24,000円となる。商品によるが、買取よりも10~40%程度割高に設定されているようだ(4年契約の場合)。契約期間満了後は「返却」「延長」「買取」から選択することができる。