長引く新型コロナウイルス禍で企業業績が悪化し、遊休資産の処分や希望退職の実施により苦境を乗り切る企業が出ている。世の中では人手不足感もあるが、一度離職したら、すぐに希望の職に就けるかは分からない。仮に生活保護を受けることになった場合、どのような点に留意すべきだろうか。

生活保護制度とは

「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するため、国や自治体が設けている生活扶助制度だ。

生活保護制度における扶助は具体的に8種類あり、食べ物・服・光熱水費を扶助する生活扶助、家賃などをカバーする住宅扶助、病気やケガの治療を扶助する医療扶助などがある。

年金を受給している場合でも、生活保護制度によって足りない分を扶助してもらうことが可能だ。

生活保護を受けていると住民税が0円になる

生活保護を受けていたり、失業などで収入が著しく減少していたりするというように、生活困窮者に該当する場合や、災害により大きな損害を受けた場合は住民税が0円となる。

生活保護で「やってはいけないこと」

生活保護を受ける人は、生活保護法により、年齢や体力に応じて働き、支出を節約して生活の維持に努めなければならない。生活保護を受けると、してはいけないことが出てくる。例えば、ブランド品といったぜいたく品は持てなくなる。では、パチンコはどうだろうか。

栃木県佐野市の公式サイトには、市民からの「生活保護受給者がパチンコをすることを許されているのはおかしい」という投書に対し、2020年7月の回答として「禁止を強制できない」と応じている。回答によると、生活保護は資産や能力をフル活用しても困窮する国民を守る制度だが、生活保護法にはパチンコなどの遊興行為を禁じる直接的な規定はない。

仮に「どうにも生きていけない」として生活保護を受給している人が、パチンコ店で遊んでいても、生活保護を管轄する行政は遊興行為の禁止を強制できないという。制度の趣旨に照らして指導するぐらいが関の山といったところなのだろう。

法の抜け穴を許容するか、制度改正を待つか

ここまで見てきたように、生活保護への否定的な見方を形づくる要因の1つが、生活保護を使ってパチンコで遊んでも注意されない、というような「抜け穴」とも言うべき不備にあると言えそうだ。そうであれば、制度自体が有効に活用され、世間からあたたかい目で見守ってもらえるように、制度内容の一部を変更することも求められよう。

文・MONEY TIMES編集部