「老後2,000万円が必要」との金融庁の試算をきっかけに、老後の資金不足に不安を感じている人は多い。実際に生活資金がわずかしかなく、困窮している高齢者もいる。今回は手持ちの資金が少ない場合、どのような対処方法があるのか解説する。いざというときに頼れる公的な制度があることも、ぜひ覚えておいてほしい。

老後資金がないときの対処方法

老後に生活していくお金が不足している場合、対処方法は主に3つある。

65歳以降もできるだけ長く働く

生活に必要なお金が足りない以上、まずは老後もできる限り働くのが基本路線となる。年金を受給しながら働いて、ダブルの収入を得ることも可能だ。

年金の受け取り時期を繰り下げることで、毎月の受給額を増やすのも1つの方法である。ただし、生活費を全額カバーできるほど稼げない、持病があるといったケースでは、繰り下げをせず早めに受け取りを開始した方が良いかもしれない。

年金を繰り下げるかどうかは、自身の身体・経済状況を考慮して検討しよう。

家計の見直し・節約

収入を増やすのと同時に支出を減らすため、家計の見直しや節約も必要となる。主な方法は下記の通りだ。

・自炊を中心にして外食・中食を大幅に減らす
・コンビニや自販機を利用しない
・スマホは格安プランを利用
・保険の見直し
・利用頻度の低いサブスク(定額制)サービスの解約
・電気・ガス・水道の無駄遣いをやめる

食事を1日1回にする、入浴をしない、電気をつけないなど、極端な節約に走る人もいる。しかし身体的・精神的に多大なストレスをもたらし、健康を崩してしまうと元も子もないので避けよう。

スマホ決済などキャッシュレス決済の活用もおすすめだ。上手にポイントを獲得することで、家計の足しにもなる。

自宅を売却する

持ち家がある人の場合、自宅を売却して生活資金を作る方法もある。子どもが独立して広い家を持て余している場合、適切な広さの物件に引っ越すことで、生活が楽になることも。

「リバースモーゲージ」といい、自宅を担保に金融機関からお金を借りる方法もある。物件にもよるが、評価額の50~80%程度を借り入れることが可能だ。

死後に遺族が自宅を売却して、一括返済することになる。

老後資金がないときに頼れる制度

自助努力だけではどうにもならない場合、公的な制度の支援も可能だ。

生活困窮者自立支援制度

働きたくても働けない、住む場所に困っているなど、自力で生活するのが困難な人を支援する公的な制度だ。地域の相談窓口が、それぞれの相談者の実情に合った支援策を検討する。

サポート内容は多岐に渡っており、就労支援、就労訓練、家計改善支援、住居のない人への衣食住の提供などがある。

生活福祉資金貸付制度

生活に必要な資金を借りられる制度だ。無利息であり、返済期間も長く設定されるため、キャッシングやカードローンなどで借りるよりも返済負担が軽い。

貸付をしている資金の種類は複数あり、まず生活支援費は、生活再建までに必要な生活費用を貸し出す。住宅入居費は、敷金・礼金など住宅の賃貸契約を結ぶために必要な費用をサポートする。

一時生活再建費は、一時的に不足している日常生活費を貸し出すものだ。就職・転職のための技能取得費用、滞納している公共料金などの支払いに充てられる。

生活福祉資金貸付制度の受付窓口は、それぞれの市区町村の社会福祉協議会だ。現在、新型コロナの影響で困窮した人に向けて、通常とは別に緊急の特例貸付も行われている。

生活保護制度

「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するため、国や自治体が設けている生活扶助制度だ。先述の2つの制度と比較すると知名度が高く、名前だけは知っている人も多いだろう。

生活保護制度における扶助は具体的に8種類あり、食べ物・服・光熱水費を扶助する生活扶助、家賃などをカバーする住宅扶助、病気やケガの治療を扶助する医療扶助などがある。

年金を受給している場合でも、生活保護制度によって足りない分を扶助してもらうことが可能だ。

文・MONEY TIMES編集部

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