「オムニチャネル化」の裏にある中小事業者の課題
「オムニチャネル化」が加速する中、店舗を運営する事業者はどんな課題を抱えているのでしょうか。それは販売チャネルごとに「在庫情報」「売上情報」「顧客情報」がバラバラに存在し、データが分断され「経営に必要な情報」の管理が煩雑になっているという課題です。
実際にどのように管理が煩雑になっているか、ある小売事業者の事例を紹介します。都内にある、かな料紙専門店の「こきん」さんは、実店舗とネットショップで商品を販売してますが、商品の「在庫管理」という課題に直面していました。
実店舗では1,000点以上の商品を取り扱い、その中から一部の商品はネットショップにも掲載しているため、実店舗で売れるたびにネットショップで「売り切れ登録」をする必要がありました。この在庫調整には、1日あたり1時間半ほどかかることもあったそうです。
担当者によると「忙しい時は在庫の調整を忘れてしまい、ネットショップに掲載している商品の在庫が店頭になく、別の商品で対応したり、返金したりすることもあった」といいます。
こきん(https://kokinkana.shop/)提供
同様に、都内で実店舗とネットショップを運営するトレイルランニング専門店 「Trippers 」さんからも、「1日の終わりに、実店舗で売れた商品をネットショップの在庫から手動で差し引いていた。しっかりと確認したつもりでも、ズレが生じてしまう。ネットショップで売れても、手元に在庫がないときは、メーカーに問い合わせるという手間もかかり、顧客を待たせてしまい迷惑をかけてしまった」という声もありました。
Trippers(https://trippers-wtrc.shop/)提供
そして大分県で、実店舗とネットショップの他、イベント出店もおこなう、子供服と雑貨のお店「 bon but」 さんも、販路が増え、一気に商品の在庫管理が煩雑化したといいます。
「実店舗やイベントで商品が売れたら、商品数を手書きで記録し、後からネットショップの登録在庫数から差し引く作業をしていた。イベント出店の際は多いときで70着近くが売れるため、ネットショップとの在庫調整に3〜4時間かかっていた」といいます。
また「イベント出店中は、売れた商品をその都度ネットショップの在庫から減らす時間が取れず、一時的にネットショップを非公開にする必要があった。在庫調整の作業ができないときは、3日ほどネットショップを非公開にしたままということもあった」と話し、その分売り逃しが生じていたそうです。
bon but(https://bonbut.stores.jp/)提供
このような課題を解決すべく、STORESでは2021年6月にネットショップと一体になったPOSレジ「STORES レジ」の提供を開始しました。
「STORES レジ」 は、ネットショップ開設サービス「STORES」から派生しているサービス。UXが統一されていることはもちろん、中小事業者がオンラインとオフラインの垣根を越えて商いをする際に生じる、上記のような「在庫連携」の課題を解消できる機能が備わっています。
実際に利用事業者からは「在庫調整の時間と手間が削減できた」「在庫連携でズレがなくなり、課題が8割改善した」「イベント時もネットショップをオープンにしたまま出店できるようになった」などの声が多数ありました。
もちろん、別々のサービスであっても、それぞれのデータをCSVファイルでダウンロードし、データを連携すれば一元管理できるケースも考えられます。しかし、ここで強調したいのは「UXが統一されていることが重要」という点です。
「2つの別々のサービスを連携する」という作業は、デジタルに慣れていない方からすると、手間がかかる面倒なものであり、慣れるのにも時間が必要です。
だからこそ、少人数であらゆる業務をおこなう中小事業者にとっては、「別々のサービスを連携できる」ではなく、「最初からUXが統一されている」ことに大きな意味があります。
そして、ネットショップとPOSレジの商品データベースも統一されていれば、実店舗とネットショップの垣根を越えたオムニチャネル化にも、スムーズに対応可能でしょう。