かつては日本はラジコン機の最先端で農薬散布の無人機利用も早期に実現していました。要は無能な政治と、ことなかれ主義の官僚組織が経済成長の芽をつんできたわけです。

電波法のドローン規制の内容を見ていこう。日本では世界でもまれなことにドローン操縦で無条件に使用できる電波の周波数は主に2.4GHz(ギガヘルツ)帯に限られている。世界でこんなにも制限をかけているところはない。

無線技士免許の取得や操縦ライセンス取得などさまざまな条件をクリアすれば5.7GHz帯や5.8GHz帯といった伝送容量と速度にたけた、いわゆる5GHz帯の周波数を使用する産業用機体などの利用も可能ではあるが、それにはコストや手間がかかる。

現在、自衛隊が所有している小型ドローンは災害用と位置付けてはいるが、一般向けに市販されている民生用の機体が主で、利用可能な電波は2.4GHz帯の周波数に限られている。

欧米や中国など多くの国では主に5.8GHzを含む5GHz帯を使用する機種が標準的で、このパワフルな通信環境を生かしたドローン利用が盛んとなっている。だが、たとえ海外メーカー製で外観が同じ機種でも、日本で販売する際には電波法によって使用する電波の仕様を2.4GHz帯の周波数に改められ技適を受けた日本仕様となる。

だからスキャンイーグルも日本向けにスペックダウンしたわけです。その分値段も上がっているはずです。能力を低くして値段を上げている。

この仕様変更で生じた費用は必然的に販売価格に上乗せされることにより、海外販売価格に比べて3割から、まれに10倍以上の価格で販売されることが常態化している。日本の電波法によるドローンの電波の仕様の事情だけで見ても、民生利用とともに自衛隊のドローン導入コストが割高になっているのはご理解いただけるだろう。

つまり自衛隊では多額の税金を使ってクズを導入しているわけです。先のレクでぼくが報じた東日本大震災でFFOSやFFRSが飛ばなかったのは周波数帯にも問題があったのではないか、という質問にも明確な回答はありませんでした。

常識的に考えれば、長距離で目視外で操縦するこれらの無人機が周波数帯の問題を受けないわけがありません。防衛省は魔法でも使えるのでしょうか?

技術的な観点から見ると、前述した通り日本では2.4GHz帯の電波を使用するのはドローンだけに限らず多くの人が日常的に使用するスマホ、WiFi、Bluetooth機器なども同じ、あるいは近い周波数の電波が使用されている。この影響で電子機器同士の電波の干渉や障害が発生しやすい実態がある。

2.4GHz帯は機動性が高く途切れにくいという特性もあり、入り組んだ構造の室内等では有効とされているが、屋外での使用が主になるドローンに関して言えば、5.8GHz帯をはじめとする5GHz帯に比べて伝送容量も少なく伝送速度も遅い。そのため、ドローンのカメラから手元のコントローラーに送信される映像にも遅延が発生するので、映像を見ながらの操縦にもリスクが伴うなど、デメリットが多い。

これを放置して無人機や無人車輌、無人艇を大人買いすることは防衛費を溝に捨てることに等しいわけです。溝に金を捨てるために防衛費を2倍して、借金で軍拡するとか、増税で軍拡するとか大騒ぎしています。

軍拡前にタダでできる法改正があるのに、それをやろうとしません。自民党国防部会とか清和会って馬鹿なんですか?

さらに電波の強弱によって影響を受けるのは、ドローンの飛距離だ。この点は前述した海外メーカーの現地仕様と日本仕様を比較すれば明らかで、2022年に米陸軍が短距離偵察用ドローンRQ-28Aとして正式採用した米Skydio社の機体では、米国仕様が最大6kmと表記しているのに対し、同型機種の日本仕様の国内販売を行うNTT-eドローンのウェブサイトには電波法の規制を併記した上で飛行距離を300m程度(推奨値)と記載されている。

なんと6km飛ぶドローンが、日本では20分の1になっているのだから笑えない。ただ、他のメーカーの中には、電波障害のほとんどない開けた場所における最大飛行距離の数kmを飛行可能距離として記載するなど基準も曖昧だ。

筆者の2.4GHz帯の機体操縦経験では、電波干渉がほとんどない山岳地帯では500m以上の距離を飛ばせたのに対して、WiFiルーターが複数設置された都内にある大学の室内では数mの至近距離にもかかわらず、操縦不能になるといったこともあった。操縦不能になれば、当然だが、墜落する危険がある。このような状態が自衛隊の現場で起きていることは、複数の現役陸上自衛官への取材でも明らかになっている。

最も印象に残っている自衛官のコメントは「ドローンの電源をONにして離陸準備するのにも電波障害で手間取ることがある。数百mの距離であれば、自撮り棒にカメラを着けて走った方が速い!」である。ここまで言わしめるほどに自衛隊のドローン運用に対して電波法が障害になっているのだ。これでは災害対応どころか、同盟国との連携や訓練、ましてやウクライナ軍のような活用は夢のまた夢である。