【ポイント1】 接種10分後、顔面蒼白で呼吸困難を訴えている時点で、医師はバイタルチェックの指示を出しています。当然、看護師は血圧を測定したはずで、もし血圧が低下していれば医師に報告して記録したはずです。ところが、データには血圧の記載がありません。血圧を測定しなかったのであれば論外です。この時点での血圧データは極めて重要です。また、データでは皮膚所見なしと記載されています。つまり、蕁麻疹が生じていなかったということです。
担当医がどのような主張をしているのか不明ですが、「血圧低下がなく蕁麻疹などの皮膚所見を認めなかったので、アナフィラキシーと判断しなかった」と主張しているのであれば、医学的に全く間違っているとは言えません。
【ポイント2】 病院搬送後、心肺停止の状態で医師は挿管管理(人工呼吸器管理)を実施しています。この時、医師は咽頭~喉頭浮腫の有無を確認できます。粘膜病変を認めなかったと記載されていますので、接種57分後の時点で口腔~咽頭・喉頭浮腫は認められなかったということになります。また、皮膚所見も認めなかったと記載されています。咽頭・喉頭浮腫が確認できず蕁麻疹も認めなかったため、病院の医師は、死亡診断書の死因を、アナフィラキシーショックではなく、急性心不全にしたと推測されます。つまり、病院の医師は、事実をねじ曲げて、死亡診断書を書いたわけではないことになります。