「自公政権崩壊」の可能性

最近の岸田内閣の支持率は、どの世論調査を見ても30パーセント前後の危険水域にまで凋落し、回復の見通しが立たない状態である。「旧統一教会問題」が最大の原因であるが、岸田首相の指導力への国民の疑問符も否定できない。

このまま支持率が回復しなければ、来春の統一地方選を控え「岸田おろし」が起こり、菅内閣の「二の舞」になりかねない。しかし、被害者救済などの「旧統一教会問題」の解決や自民党議員と旧統一教会との関係解消を国民が評価しなければ、「首相」を変えても自民党の政権運営は楽観できず、次期総選挙での自公の過半数割れ、ひいては「自公政権崩壊」の可能性も否定できない。

もちろん、「自公政権崩壊」には自民党政権に代わり得る野党の政権受け皿が不可欠である。そのための「政権選択肢」として、維新・立憲・国民三党による国民を安心させる安全保障政策をはじめとする「国民連合政権構想」が何よりも重要である。立憲は政権を獲得するためには特に安全保障政策において維新に大幅に歩み寄る必要がある。

維新・立憲・国民の「国民連合政権構想試案」

(1)日本の自主防衛力の強化

ロシアのウクライナ侵略を受け、抑止力がなければ他国から侵略されることが明らかとなった(2022年3月15日掲載拙稿「ウクライナ侵略の教訓:抑止力なき国は侵略される」参照)。日本は中国・北朝鮮・ロシアの核保有国に隣接し、「尖閣有事」「台湾有事」など近時軍事的脅威は高まっている。

「拡大核抑止(核の傘)」をはじめ日米同盟は極めて重要であるが、米国も自国の国益と自国民の安全確保が最優先であるから、安全保障を米国に全面的に頼り切るのは危険であり、ウクライナ国民と同様に、日本国民も常に「自分の国は自分で守る」自主防衛の覚悟が不可欠である。

日本の抑止力強化のためには、専守防衛に基づく「必要最小限度」の防衛力原則を見直し、現在の周辺国の軍事情勢に対応し柔軟に解釈変更する必要がある。したがって、ミサイル防衛システムの一層の強化はもちろんのこと、自衛のための長射程極超音速弾道ミサイル・長射程巡航ミサイル・長距離戦闘爆撃機・原潜・空母などの保有も「必要最小限度」の解釈変更により可能とする。

これらの自衛のための保有は、対中国・対北朝鮮・対ロシアへの有効確実な「反撃能力」となり、日本の自主防衛力・抑止力を格段に強化する。これは米国にとって北東アジア防衛の負担減になるから米国も歓迎するに違いない(2022年1月14日掲載「日本防衛に極めて有効な射程2千キロ以上極超音速弾道ミサイル」参照)。

さらに、日本の核抑止力を格段に強化するため米国との協議により、ドイツなどのような「航空機投下型核共有」に加え、「ミサイル発射型核共有」「潜水艦発射型核共有」などの「日本型核共有」を導入する。「核共有」は日本の領土・領海・領空に核を配備し、これを米国と共同運用するものであるから、「核の傘」よりも、中国、北朝鮮、ロシアの核恫喝や核攻撃を抑止するのに極めて有効である(2022年3月8日掲載「核の傘を格段に強化する核共有」参照)。

これらの日米同盟を基軸とする日本の自衛のための「自主防衛力の強化」は、外交と車の両輪であり、日本の平和外交の重要性を決して否定するものではない。もとより、自衛隊に憲法上の正統性を付与し、且つ日本の自主防衛力・抑止力の保有を憲法上根拠付ける「自衛隊明記」の憲法改正は、日本の安全保障上も極めて重要であるから、憲法9条の改正を行う(2019年11月24日掲載「日本防衛のために自衛隊に憲法上の正統性を付与せよ」参照)。