ドイツの食事といえば、何を思い浮かべるでしょうか。ほとんどの人はソーセージ、ビール、じゃがいも、ドイツパンあたりを答えるかと思います。 日本にはイタリアンレストランやスパニッシュレストランはあちこちにありますが、ドイツレストランはそれらに比べてあまり馴染みがありません。ドイツの人たちは、日常的にどんな食事をとっているのでしょうか。筆者は実際にドイツで友人宅に滞在してみて、日本との違いにさまざまな驚きを感じました。
この記事では、現地で撮影した写真とともにリアルな食事をご紹介いたします。
目次
1. ドイツの人たちはどんな食事をしている?
2. ドイツに住む人の朝食
1. ドイツの人たちはどんな食事をしている?
「カルテスエッセン」という言葉をご存知でしょうか。カルテスエッセン(Kaltes Essen)とは、ドイツ語で「冷たい食事」という意味で、ドイツの食文化を表現しています。
私たち日本人の場合は温かいご飯に味噌汁、もしくは温かいおかず、という文化で暮らす人が多いと思われることから、「冷たい食事って?」と疑問に思ってしまいますが、「火を通していない食事」ということで、主に夕食のことを指します。ドイツでは食事に重きを置いておらず、調理に時間をかけるのではなく、家族や友人との団らんに時間を割きたいという考え方。特に朝食と夕食に関しては軽めに済ませます。食事に重きを置かないことを象徴するかのように、ドイツ人はレストランで食事をすることも日本人に比べ少ないそう。
ドイツ食文化の背景
このように、言ってしまえば「実質的」な食文化は、ヨーロッパの中でも北に位置している気候風土から、農作物が育たなかったという地理的な背景が影響しています。
ドイツは16世紀末ごろに南米からじゃがいもが伝わり、当初は家畜の餌として使われていました。その後、当時のドイツでは深刻な飢饉(ききん)であったことから、じゃがいもの栽培は急速に広まり、今ではじゃがいも生産国世界第7位として君臨しています。
また、ドイツの長く厳しい冬を乗り切るために保存食が発展しました。ドイツ料理の味付けは濃く、しょっぱいものが多いと感じる方が多いのはその影響なのです。
2. ドイツに住む人の朝食

それでは実際、ドイツ人はどのような食事を毎日食べているのでしょうか。ここでは平日バージョンと、家族と食べる週末バージョンの朝食をご紹介します。
朝食は軽めにパンと飲み物程度
ドイツで働く人の朝は、早く始まります。日本よりもフレックスタイム制が浸透していることから、ドイツ人は朝早く勤務を開始して、できるだけ早く帰宅するのが一般的。朝7時から勤務を開始する人も少なくありません。
そんな働くドイツ人の朝食は、写真のようにシリアルにバナナ、パン、ハムやチーズ、ゆで卵などで軽く済ませるのが一般的。また、会社に向かう道中でパンを買って、会社で食べる人もいるそうです。ドイツは日本を超えるコーヒー消費大国としても知られているため、コーヒーも鉄板。朝食に関しては、現代の忙しい日本と似ていますね。
朝食は甘い?しょっぱい?

こちらは、別のドイツ人宅でいただいた週末の朝食。4人での食卓だったので、ボリュームが多いですね。日本でイメージされる一般的な朝食は、白いご飯に味噌汁、梅干しに焼き魚など、塩やしょうゆ、味噌などを使うしょっぱい食事ではないでしょうか。 反対に、ドイツの朝食はドイツ人の主食でもあるドイツパンに、バターをパンからはみ出すほどにたっぷりと塗り、その上に、チョコレートペーストで有名なヌテラやハチミツ、ベリーなどのジャムを塗ったり、ハムやチーズを乗せたりと、どちらかというと甘いものが多い傾向です。
またヨーロッパ圏ではハムやチーズは安く種類が豊富。ドイツでは、自家製のジャムを手作りする人も多いそうですよ。写真奥の方に見えるサーモンも食卓にありましたが、ドイツは海に面しているのは北ドイツの一部エリアだけなので、魚を食べることはごく稀です。