■ 例2

ラジオ局で働いているBさん。いつも一緒に制作してくれている構成作家さんに来年度も依頼をしようと思っていましたが、会社から「相手方からインボイスをもらえるのか? もらえない相手とは今後取引はやめるように」と言われてしまいました。

今までのやり方をよく知ってくれていて、あうんの呼吸でやってきている構成作家さんなのに……。そもそも、インボイスって何だろう? あの構成作家さんからはインボイスをもらえるんだろうか?

こういったときに「インボイスって何ですか?」と聞けば「知らないの?」とあきれ顔をされてしまうかもしれませんね。ただ、インボイスは少し複雑な制度なので、自分で調べても何がポイントになるのか分かりづらいかもしれません。

ここでは最低限、インボイスで押さえておきたいポイントを絞って紹介します。

インボイスとは

冒頭でお伝えしたように、いま日本で「インボイス」というと、令和5年10月から新しいルールの下で発行される請求書や領収書のことを指します。

インボイス制度では、インボイスを発行できるのはインボイス発行事業者として税務署に登録申請した課税事業者だけです。

受け取った請求書や領収書、レシートなどがインボイスかどうかは「登録番号」の記載があるかどうかでわかります。「T+13桁の数字の固有番号」が登録番号です(図1の7番)。

(図1:筆者作成)

インボイスの場合とそうでない場合、何が変わるのか?

では、具体的な数字を想定して、もらった請求書がインボイスの場合とそうでない場合とでどう違ってくるのか確認してみましょう。

【もらった請求書がインボイスなら】

あるお店がバッグを11万円で売ったとします。うち消費税額は1万円です。このバッグは8万8千円で仕入れたものです。内訳は原価8万円、消費税8千円です。お店は、仕入先からインボイスをもらえたときだけ、売り上げたときの消費税1万円から仕入先に支払った消費税8千円を差し引くことができます。つまり、お店が国に納める消費税は2千円です。