会員数増も出店も困難

では、1店舗あたり会員数は増やせるか。これも難しい。chocoZAPの店舗はかなり狭いからだ。店舗によっては、同業種の24時間ジム「エニタイム」の半分以下と推測されるところもある。

エニタイムの1店舗あたりの平均会員数は850人。対して、chocoZAPは478人(※2 )。すでに、エニタイムの半分を超えており、ネットでは、「狭い」「キャパを超えてる」などのコメントが投稿されている。これ以上の会員増はかなり難しいだろう。

chocoZAP都内2店舗 筆者撮影

2,000店舗の出店も困難だ。「エニタイム」を運営する株式会社 Fast Fitness Japanの土屋敦之社長は、24時間ジムの市場規模は「最大で4,000店舗ぐらい」だという。すでに、24時間ジムは全国で2,300店舗超。市場はレッドオーシャン化しつつある。

差別化施策は「諸刃の剣」

そのため、各社は、低価格化に加え、さまざまなサービスを提供している。たとえば、「JOIFIT24」を運営する株式会社ウェルネスフロンティアは、chocoZAPと同料金で、家族3名までが無料で利用できる、新業態「FIT365」を2015年より展開。現在の90店舗から2025年3月期までに300店舗へ拡大を目指す。

chocoZAPも、「セルフ脱毛・セルフエステルーム」などのサービスを提供し、差別化を試みてはいる。だが、これらは場所を取り、「肝心のトレーニングエリアが狭い」という指摘もあり、「諸刃の剣」となっている。

ライザップの目標達成には、chocoZAPだけではなく、従来の事業の抜本見直しが迫られるだろう。

競合はスポーツジムだけではない

スタジオもプールもお風呂もいらない。トレーニングさえできればいい。そんな利用者たちがchocoZAPのターゲット層だ。求める費用対効果(コスパ)はかなり高い。

「もっと安いところはないか」「もっと効果的なマシンを使ってみたい」

chocoZAPの競合は、他社が運営するスポーツジムとは限らない。

公営のスポーツセンターは、1回の利用額が300円~600円程度と安価なうえ、夜10時頃まで利用できる。スミスマシンやパワーラックなどを設置し、本格的なトレーニングに対応しているところもある。YouTube等の無料映像を利用した自宅での自重トレーニングでも、かなりの効果を上げることができる。これらはみな「競合」だ。

chocoZAPは、利用者に「競合」を超える満足感を与えることができるだろうか。

【注釈】 ※1 フィットネス施設に関する調査を実施(2020年)|市場調査とマーケティングの矢野経済研究所 ※2 2022年9月時点 RIZAPグループ 中期経営計画(2023年3月期?2026年3月期)より算出

【参考】 24時間ジム「エニタイム」コロナ禍でも強気の訳 | 東洋経済オンライン RIZAPグループ株式会社有価証券報告書・決算説明会資料