ライザップという企業の「強み」
ライザップは、メディア露出の仕方や、CMの魅せ方が「うまい」。chocoZAPの広告で活用したのは、「コンビニジム」という言葉だけではない。「着替え・靴の履き替え不要」「24時間・全店舗利用可能」「安価」など、スポーツジムの潮流(あたりまえ)を改めて訴求している。広告のお手本のようだ。
「うまい」のは広告だけではない。決算報告、経営計画の見せ方も巧みだ。ステークホルダー(投資家・取引先など利害関係者)の方々は、これらを細かく分析する必要があるだろう。
幅を持たせた利益予想2022年9月末に行われた中期経営計画説明会では、
「(不透明な外部環境に加え)chocoZAP事業の業績が好調な場合は出店計画を前倒しして実行する」
とし、今期末(2023年3月期)の最終利益予想は、△20億円(赤字)~ 5億円(黒字)と幅を持たせた。今期は「chocoZAP次第」ということになる。
説明会には、代表取締役社長の瀬戸健氏が「chocoZAP」ロゴのTシャツで登壇。説明資料の半分以上を、chocoZAPの訴求が占めるなど、ライザップのchocoZAPへかける思いがうかがえる。だが、その思いが強すぎはしないか。
3年後(2026年3月期)の、RIZAP関連事業(chocoZAP、RIZAPボディメイク、RIZAP GOLF、EXPAなど)の売上目標は710億円。今期末の売上(190億円見込)に、「520億円」上乗せする必要がある。かなり強気の目標設定だ。
売上達成は困難chocoZAPは今期末時点で300店舗(見込)。今後3年間で1,700店舗出店し、2,000店舗を目指すという。だが、現在の1店舗あたり会員数(平均478人 ※2)を維持しつつ、順調に出店できたとしても、売上増は「300億円弱」に過ぎない。
目標を達成するには、chocoZAP以外の事業(RIZAPボディメイク、RIZAP GOLF、EXPAなど)で、「220億円」以上売上を増やす必要がある。だが、RIZAPボディメイクおよびEXPAの店舗数は減少傾向(ともに前期比4店舗減)、RIZAP GOLFは現状維持に留まる(2022年9月時点)。220億円もの売上増は期待できない。

(左:EXPA、右:RIZAP GOLF) RIZAPグループ株式会社プレスリリースより