「ANAアメリカン・エキスプレス一般カード」はANA一般カードの中でもっとも高額な年会費だが、VISA・マスターと比較してどのくらいのマイル獲得コスパになるのか?このクレジットカードのメリット・デメリットをマイル年会費、マイル還元率、スペック等から徹底解説する。
目次
1,ANAアメリカン・エキスプレス一般カードの基本スペックと審査基準
2,ANAアメリカン・エキスプレス一般カードのポイント還元率は?
3,ANAアメリカン・エキスプレス一般カードの獲得マイルシミュレーション
4,ANA VISA/マスター 一般カードと年間費用はどちらが安いのか?
5,アメックスとAVISA/マスターでマイルがお得に貯まるのはどちら?
6,VISA/マスターのスペックの違いは?アメックスがお得になる使い方
7,ANAアメリカン・エキスプレス一般カードのマイル還元率以外の3つの特徴
8,ANAアメリカン・エキスプレス一般カードの2つのデメリット
9,ANAアメリカン・エキスプレス一般カードはどんな人のおすすめなのか?
1,ANAアメリカン・エキスプレス一般カードの基本スペックと審査基準
「ANA アメリカン・エキスプレス・カード(一般)」(以下、「ANAアメリカン・エキスプレス一般カード」)は、アメリカン・エキスプレス発行のANA一般カード。他のANA一般カードと大きく異なるのは、以下の4点だ。
- 年会費が高額であること
- ANAグループでの利用分がポイント1.5倍になること
- 空港ラウンジサービスが付帯すること
- 付帯保険の補償額が大きいこと
ここでは他のカードとの違いも含めて、このカードの特徴を紹介する。まずは、基本スペックから見ていこう。
「ANA アメリカン・エキスプレス・カード(一般)」の基本スペック
国際ブランド | アメリカン・エキスプレス |
年会費 | 7,700円(税込) 家族会員2,750円(税込) |
ポイントサービス | メンバーシップ・リワード |
通常ポイント還元率 | 0.3~1% |
通常マイル還元率 | 1% |
ポイント交換対象 | ANAマイル 楽天ポイント App Store & iTunes ギフトカード など |
空港ラウンジサービス | 国内主要28空港+ハワイ・ホノルル |
付帯保険 | 海外旅行傷害保険(利用付帯) 国内旅行傷害保険(利用付帯) ショッピング・プロテクション(利用付帯) |
追加カード | 家族カード ETCカード |
電子マネー | 【カード本体に搭載】 楽天Edy 【Apple Pay経由】 QUICPay |
2,ANAアメリカン・エキスプレス一般カードのポイント還元率は?ポイントサービスを徹底解説
「ANAアメリカン・エキスプレス一般カード」を検討するにあたって、最も気になるのはマイル還元率だろう。ここからは、ポイントサービスやマイル交換レートについて解説しよう。
貯まるポイントと還元率……0.33%~最大1%還元
貯まるポイントはアメックスの「メンバーシップ・リワード」だが、「ANA アメリカン・エキスプレス提携カード メンバーシップ・リワード」というANA提携カード用のポイントになっている。
貯まるポイント | メンバーシップリワード |
ポイント単位 | クレジット支払い100円→ 1ポイント |
通常還元率 | 1% |
ANAマイル交換レート | 1ポイント→1マイル (1,000ポイン単位) |
クレジット払い100円ごとに1ポイント(0.33円~最大1円相当)が貯まり、ポイント還元率は最大1%。ただし、ANAグループでの利用分は1.5倍(100円につき通常1ポイント+200円につきボーナスポイント1ポイント)になる。これは、他のANA一般カードにはない特徴だ。
ポイントの使い道……ANAマイルへの交換には「ポイント移行コース」への登録が必要
ポイントはANAマイルのほか、各種賞品や各社ギフト券、電子クーポンなどに交換できる。カード利用代金やショッピングの支払いに充当することもできる。
ANAマイルへは1ポイント→1マイルのレートで交換でき、マイル還元率に換算すると1%。一般的に1マイルは2円相当の価値があるとされるため、ポイント還元率は2%と考えていいだろう。
ANAマイルに交換するためには、年間6,600円(税込)の「ポイント移行コース」に登録しなければならないが、ポイントからマイルに交換するときだけ登録すればいいので、毎年6,600円(税込)かかるわけではない。つまり大きく貯めて、まとめて交換するのが賢いやり方だ。
「ポイント移行コース」に登録している間は、ポイントの有効期間が無期限になる。ただしポイントから移行したマイルの有効期限は、移行月の36ヵ月後の月末までだ。
マイルの賢い使い方……ANA SKYコインを活用すれば利便性アップ
クレジット利用やフライトで貯めたマイルは、特典航空券に交換するのが一般的だろう。しかしハイシーズは、ANAマイレージサービスの会員グレードが高くないと席を確保できないことがある。その場合に活用したいのが、マイルから交換できる「ANA SKYコイン」だ。
「ANA SKYコイン」とはANAサイト上で使える電子クーポンのことで、クレジット払いと併用することもできる。現金と同様に扱われるので、シーズンや会員グレードは関係なく、確認するのは価格と座席が空いているかどうかだけだ。特典航空券と違って、フライトマイルも貯まる。
ANAマイルから「ANA SKYコイン」への交換レートは1回の交換量が多くなるほど上がるが、有効期限は約1年なので、その間に使える分だけ交換するようにしたい。参考までに、交換量別の交換レートを紹介しておこう。
交換レート | 交換マイル数 | 交換後コイン数 |
1倍 | 1~9,999マイル | 1~9,999コイン |
1.2倍 | 1万マイル | 1万2,000コイン |
1.3倍 | 2万マイル | 2万6,000コイン |
1.4倍 | 3万マイル | 4万2,000コイン |
1.5倍 | 4万マイル | 6万コイン |
1.5倍 | 5万~ 20万マイル |
7万5,000~ 30万コイン |
マイルを特典航空券にする場合よりも利便性は格段に上がるが、「ANA SKYコイン」に交換して航空券を購入すると、マイルを特典航空券に直接交換する場合に比べて割高になるというデメリットがあるので注意したい。
ポイント・マイル還元率をアップする5つの方法
ポイントアップ・マイルアップの方法をうまく活用すると、より多くのポイント・マイルを獲得できる。
・ポイント・マイルアップの方法1,提携店利用でポイントが最大10倍に
アメックスの「ボーナスポイント・パートナーズ」提携店でのクレジット利用分は、メンバーシップ・リワードのポイントが2倍~最大10倍付与される。
提携店には高島屋オンラインストア、ヒトサラ、じゃらんなどがある。
・ポイント・マイルアップの方法2,入会・継続時、搭乗時にボーナスマイル贈呈
このカードの特典として、カード入会時と毎年の継続時に1,000マイルのボーナスマイルが贈呈される。さらに、搭乗時は通常のフライトマイルの10%のボーナスマイルが加算される。
入会時マイル贈呈 | 1,000マイル |
継続時マイル贈呈 | 1,000マイル |
搭乗マイル加算 | 通常マイルに10%プラス |
・ポイント・マイルアップの方法3,ANAカードマイルプラス加盟店でマイル二重取り
セブン-イレブンやENEOSなど、さまざまな分野の店舗・サービスが対象となっている「ANAカードマイルプラス加盟店」。そこでANAのクレジットカードを利用すると、クレジット利用ポイントとは別に、100円(税込)または200円(税込)につき1マイルが付与されるので、ポイントとマイルの二重取りができる。
航空券や機内販売といったANAグループの利用では100円(税込)につき1マイルが還元され、さらに「ANAアメリカン・エキスプレス一般カード」ではポイントが1.5倍になるため、マイル還元率は合わせて2.5%になる。
「ANAカードマイルプラス加盟店」の対象店舗は基本的に国内のみだが、アメックスのANAカードに関しては一部の海外百貨店(本店のみ)でもボーナスマイルが付与される。対象店舗は以下のとおり。
対象店舗 | マイル付与レート |
アレクサンドラ・ソジュフェル(パリ) | 100円につき1マイル |
ハロッズ(ロンドン) | |
リバティ(ロンドン) | |
セルフリッジ(ロンドン) | |
ロッテ百貨店(ソウル) | |
シンガポール高島屋(シンガポール) | 200円につき1マイル |
・ポイント・マイルアップの方法4,「ANAグルメマイル」参加レストランの利用
「ANAグルメマイル」対象のレストランでは、クレジット利用ポイントとは別に100円につき最大2マイルが付与される。マイル還元率は合計で最大3%になる。
・ポイント・マイルアップの方法5,「楽天Edy」の利用でマイルを貯める
カード搭載の電子マネー「楽天Edy」の利用で200円につき1マイル、「Edyマイルプラス」対象店舗なら200円につき2マイルが貯まる。
「Edyマイルプラス」の対象店舗は、ニッポンレンタカー、紀伊國屋書店、大丸・福岡天神店、沖縄ファミリーマート、エスカ地下街(名古屋駅新幹線口)、アネックス(名古屋栄キタ)、マツモトキヨシ。レンタカーや沖縄ファミリーマートが含まれるので、沖縄旅行ではお得度が増すだろう。
3,ANAアメリカン・エキスプレス一般カードの獲得マイルシミュレーション――年間200万円利用で東京-石垣往復チケットを獲得できる
マイルを獲得するチャンスが数多く用意されている「ANAアメリカン・エキスプレス一般カード」だが、実際にどのくらいマイルが貯まるのだろうか。獲得できるマイルを、年間利用額別にシミュレーションしてみよう。
シミュレーションの条件は、以下のとおり。
- 年間クレジット利用額の10%をANA航空券購入に使う
- 入会時と継続時に付与されるボーナスマイルも計算に入れる
- フライトマイルは搭乗クラスによりマイル数が異なるので、ここでは考慮しない
年間クレジット利用額別獲得マイル数
年間 クレジット 利用額 |
合計獲得 マイル |
クレジット 決済による 獲得マイル |
ANA グループ利用分 加算ポイント による獲得マイル (航空券購入分) |
「ANAカードマイル プラス加盟店」 獲得マイル (航空券購入分) |
継続時 マイル |
100万円 | 1万 2,500 マイル |
1万 マイル |
500マイル | 1,000 マイル |
1,000 マイル |
200万円 | 2万 4,000 マイル |
2万 マイル |
1,000 マイル |
2,000 マイル |
1,000 マイル |
300万円 | 3万 5,500 マイル |
3万 マイル |
1,500 マイル |
3,000 マイル |
1,000 マイル |
400万円 | 4万 7,000 マイル |
4万 マイル |
2,000 マイル |
4,000 マイル |
1,000 マイル |
500万円 | 5万 8,500 マイル |
5万 マイル |
2,500 マイル |
5,000 マイル |
1,000 マイル |
年間200万円の利用で、2 万4,000マイルを貯めることができる。これは、ハイシーズンの東京-石垣往復の特典航空券を獲得できるマイル数だ。年間300万円の利用ならローシーズンの日本-ハワイ往復、あるいはレギュラーシーズンの日本-東南アジア往復チケットを獲得できる。年間500万円の利用では、ハイシーズンの北米往復チケット、あるいはレギュラーシーズンのヨーロッパ往復チケットを獲得できる。
それぞれの年間利用額を月に換算すると、以下のようになる。
年間利用額 | 月利用額 |
200万円 | 約16万7,000円 |
300万円 | 25万円 |
500万円 | 約41万7,000円 |
月16万7,000円は、通信費や光熱費、生活用品などクレジットカードで支払えるものをすべてこのカードに集約すれば、達成できない金額ではないだろう。
4, 年間費用はANA VISA/マスター 一般カードとどちらが安い?
ここで、代表的なANA一般カードである「ANA VISA 一般カード」「ANA マスター 一般カード」と比べてどちらがお得なのか調べてみよう。
これらはいずれも三井住友カードが発行するもので、国際ブランドが違うだけで実質的には同じカードなので、ここでは「ANA VISA/マスター 一般カード」として扱うことにする。
まず、それぞれのカードにかかる年間費用を比較してみよう。
年会費割引について
「ANA VISA/マスター 一般カード」には、カード利用明細をウェブサイトのみで確認する「WEB明細」への申し込みや、自動リボ払いサービス「マイ・ペイすリボ」への登録と年1回以上のカード利用により、年会費が割引になる仕組みがある。
ポイント移行手数料
「ANAアメリカン・エキスプレス一般カード」では、ポイントをマイルに交換する際に移行手数料が必要になる(「ポイント移行コース」への登録)。「ANA VISA/マスター 一般カード」では移行手数料なしにポイントをマイルへ交換できるが、その場合のマイル還元率はアメックスの半分の0.5%。マイル還元率をアメックスと同じ1%にするには、「2倍コース」に登録しなければならない。
パターン別の年間費用を比較
上記の2点を考慮した上で、各カードの年間費用をパターン別に整理すると以下のようになる。
ANAアメリカン・ エキスプレス・ カード(一般) |
ANA VISA/ マスター 一般カード |
差額 (アメックス- VISA・マスター) |
|
年会費(税込) | 7,700円 | 2,200円 | 5,500円 |
「WEB明細」 割引適用後の 年会費(税込) |
7,700円 | 1,650円 | 6,050円 |
「マイ・ペイすリボ」 割引適用後の年会費 (税込) |
7,700円 | 1,127円 | 6,573円 |
ポイント移行手数料 (税込)※ |
6,600円 | 6,600円 | 0円 |
年会費+ ポイント移行手数料 (税込) |
1万4,300円 | 8,800円 | 5,500円 |
「WEB明細」 割引適用後の年会費 +ポイント移行手数料 (税込) |
1万4,300円 | 8,250円 | 6,050円 |
「マイ・ペイすリボ」 割引適用後の年会費+ ポイント移行手数料 (税込) |
1万4,300円 | 7.727円 | 6,573円 |
VISA・マスターの年会費割引については、「マイ・ペイすリボ」には別途リボ払い手数料がかかるため、年間費用の比較が難しい。適用条件が緩い「WEB割引」のみが適用された場合、「ANA VISA/マスター 一般カード」の年間費用は8,250円、「ANAアメリカン・エキスプレス一般カード」は1万4,300円となり、両者の差は6,050円だ。
5,アメックスとVISA/マスター、マイルがお得に貯まるのはどちら?損益分岐点を計算
ここからは、年間費用とマイルの貯まり方からどちらがお得かシミュレーションする。年会費が安いVISA・マスターとアメックスの損益分岐点を考える場合、両社の差額である6,050円相当以上の価値のマイルを獲得できるかどうかで判断することになる。
1マイルには2円相当の価値があるとされるため、同じ使い方をしたときにアメックスの獲得マイル数とVISA・マスターの獲得マイル数の差が3,025マイル(6,050円相当)よりも大きくなるところが損益分岐点と考えていいだろう。
ポイント・マイル貯まり方の共通点
まずは、2つのカードのポイント・マイルの貯まり方を確認しておこう。
VISA・マスターで「2倍コース」を適用した場合、マイル還元率はアメックスと同じ1%になる。ANAグループでの利用で1%のマイルが直接還元されるのは、どちらのカードも同じだ。
ポイント・マイルの貯まり方の違い
ポイント・マイルの貯まり方が異なるのは、以下の2点だ。
- VISA・マスターでは毎月のショッピング利用金額に応じてボーナスポイントが付与される
VISA・マスターのボーナスポイントの付与条件は、以下のとおり(2021年2月から開始)。
毎月のショッピング合計金額 | ボーナスポイント数 |
15万円(税込)未満の場合 | 5万円ごとに50P |
15万円(税込)以上の場合※ | 5万円ごとに100P |
ただし、このボーナスポイントに関しては通常のポイントとは違い、交換レートは5ポイント→3マイルになるので注意したい。
アメックスとVISA・マスターの年間獲得マイル数のシミュレーション
先ほどの「ANAアメリカン・エキスプレス一般カード」と同じく、年間クレジット利用額の10%をANA航空券購入に使うとして、年間利用額別に「ANA VISA/マスター 一般カード」の獲得マイル数をシミュレーションしてみよう。
VISA・マスターの年間クレジット利用額別獲得マイル数(2倍コース適用時)
年間 クレジット 利用額 |
合計 獲得 マイル |
クレジット 決済による 獲得マイル |
「ボーナス ポイント サービス」 獲得マイル |
「ANAカード マイル プラス加盟店」 獲得マイル (航空券購入分) |
継続時マイル |
100万円 | 1万 2,360 マイル |
1万 マイル |
360 マイル |
1,000 マイル |
1,000 マイル |
200万円 | 2万 4,440 マイル |
2万 マイル |
1,440 マイル |
2,000 マイル |
1,000 マイル |
300万円 | 3万 6,880 マイル |
3万 マイル |
2,880 マイル |
3,000 マイル |
1,000 マイル |
400万円 | 4万 8,600 マイル |
4万 マイル |
3,600 マイル |
4,000 マイル |
1,000 マイル |
500万円 | 6万 1,040 マイル |
5万 マイル |
5,040 マイル |
5,000 マイル |
1,000 マイル |
これを「ANAアメリカン・エキスプレス一般カード」のシミュレーションと比較してみよう
年間 クレジット 利用額 |
ANA アメックス 一般カード |
ANA VISA/マスター 一般カード |
差額 (アメックス- VISA・マスター) |
100万円 | 1万2,500マイル | 1万2,360マイル | 140マイル |
200万円 | 2万4,000マイル | 2万4,440マイル | -440マイル |
300万円 | 3万5,500マイル | 3万6,880マイル | -1,380マイル |
400万円 | 4万7,000マイル | 4万8,600マイル | -1,600マイル |
500万円 | 5万8,500マイル | 6万1,040マイル | -2,540マイル |
ほとんどの場合、アメックスよりもVISA・マスターのほうが多くのマイルを獲得できる。100万円ではアメックスのほうが140マイル多く獲得しているが、損益分岐点である3,025マイルには遠く及ばない。
ANAグループ利用分が多い場合のアメックスのマイルの貯まり方
ANAグループでのクレジット決済のナイル還元率が1.5%になるのが、アメックスの大きな特徴だ。ANAグループの年間クレジット利用額が20%と30%の場合の、合計獲得マイル数を比較してみよう。
年間クレジット利用額の20%がANAグループでの利用
年間 クレジット 利用額 |
ANAアメックス 一般カード |
ANA VISA/マスター 一般カード |
差額 (アメックス- VISA・マスター) |
100万円 | 1万4,000マイル | 1万3,360マイル | 640マイル |
200万円 | 2万7,000マイル | 2万6,440マイル | 560マイル |
300万円 | 4万マイル | 3万9,880マイル | 400マイル |
400万円 | 5万3,000マイル | 5万2,600マイル | 400マイル |
500万円 | 6万6,000マイル | 6万6,040マイル | -40マイル |
年間クレジット利用額の30%がANAグループでの利用
年間 クレジット 利用額 |
ANAアメックス 一般カード |
ANA VISA/マスター 一般カード |
差額 (アメックス- VISA・マスター) |
100万円 | 1万5,500マイル | 1万4,360マイル | 1,140マイル |
200万円 | 3万マイル | 2万8,440マイル | 1,560マイル |
300万円 | 4万4,500マイル | 4万2,880マイル | 1,620マイル |
400万円 | 5万9,000マイル | 5万6,600マイル | 2,400マイル |
500万円 | 7万3,500マイル | 7万1,040マイル | 2,460マイル |
ANAグループでの利用が増えるほど、アメックスのほうが多くのマイルを獲得できることがわかる。それでも、損益分岐点である3,025マイルには及ばない。年間利用額の30%がANAグループ利用分というのも、あまり現実的ではないだろう。
毎月の利用額が5万円未満の場合、VISA・マスターではボーナスポイントの付与がなくなるので、ANAグループでの利用がある限り、その分のポイント1.5倍になるアメックスのほうが確実に多くのマイルを得ることになる。しかし利用額が少ないと獲得マイル数も減るため、やはり損益分岐点である3,025マイルには及ばない。
以上のことから、年間費用と獲得マイルを考えると、現実的に想定できるほとんどのケースにおいてVISA・マスターのほうがお得と考えていいだろう。
6,アメックスとVISA/マスターの違いは?アメックスがお得になる使い方
マイル獲得数にフォーカスすると、アメックスはVISA・マスターに比べて見劣りする。しかし、この2つのカードは付帯保険や特典が異なる。
ANAアメックス 一般カード |
ANA VISA/マスター 一般カード |
|
空港ラウンジサービス | 国内主要28空港 ハワイ・ホノルル |
- |
空港手荷物 無料宅配サービス |
○(1個まで) | - |
海外旅行傷害保険 | 最高3,000万円(利用付帯) 家族特約付き |
最高1,000万円(自動付帯) 治療費用・ 賠償責任・ 携行品損害保険は 付帯しない |
国内旅行傷害保険 | 最高2,000万円(利用付帯) 家族特約付き 通院・入院・ 手術保険は付帯しない |
最高1,000万円(自動付帯) 航空便利用時のみ適用 通院・入院・ 手術保険は付帯しない |
ショッピング保険 | 年間200万円限度 | 年間100万円限度 |
これを見ると、アメックスは一般的なゴールドカードに匹敵するスペックであることがわかる。ANA一般カードにおいて、アメックスとVISA・マスターのどちらがお得かを考える場合は、これらも考慮に入れるべきだ。
例えば年間クレジット利用額が300万円で、その20%がANAグループでの利用というケースでは、アメックスのほうが400マイル(800円相当)多く獲得できることになり、2つのカードの年間費用の差6,050円と相殺すると5,250円になる。
VISA・マスターの年間費用に加えて5,250円多く支払うことで、アメックスの空港ラウンジサービスや充実した付帯保険を利用できる、と考えることができる。どちらのカードを選ぶか迷ったときは、このようにシミュレーションしてみると、自分にとってベストな選択ができる。
7,ANAアメリカン・エキスプレス一般カードのマイル還元率以外の4つの特徴
次に、このカードのマイル関連以外のメリットを4つ紹介しよう。
特徴1,空港ラウンジサービスを利用できる
「ANAアメリカン・エキスプレス一般カード」には、国内主要28空港とハワイ・ホノルルの空港ラウンジを、同行者1名を含めて無料で利用できるサービスが付帯する。対象空港は以下のとおり。
新千歳空港 | 函館空港 | 青森空港 | 秋田空港 |
仙台国際空港 | 新潟空港 | 富山空港 | 小松空港 |
成田国際空港 | 羽田空港 | 中部国際空港 | 関西国際空港 |
神戸空港 | 伊丹空港 | 岡山空港 | 米子空港 |
広島空港 | 山口宇部空港 | 高松空港 | 徳島空港 |
松山空港 | 北九州空港 | 福岡空港 | 大分空港 |
長崎空港 | 熊本空港 | 鹿児島空港 | 那覇空港 |
これはVISA・マスターには付帯しない、「ANAアメリカン・エキスプレス一般カード」ならではの特徴だ。
特徴2,空港で各種トラベルサービス優待を利用できる
空港での各種トラベルサービスを利用できる。主なものを紹介しよう。
サービス名 | サービス内容 |
空港パーキング | 空港近くのパーキングで 割引優待などが提供される (対象空港:成田国際空港、羽田空港、 関西国際空港、福岡空港)。 一例として「サンパーキング成田店38%オフ」など |
手荷物無料 宅配サービス |
帰国時に空港から自宅までスーツケース (またはゴルフバッグ) 1個を無料で配送してもらえる。 (対象空港:成田国際空港、 中部国際空港、関西国際空港) |
大型手荷物宅配 | 海外旅行時、大型手荷物宅配を 税込1,000円オフで利用できる。 (対象空港:成田国際空港、中部国際空港) |
空港クローク サービス |
空港内手荷物預かり所で 荷物2個まで無料で預けられる。 (当日利用のみ、対象空港: 中部国際空港・関西国際空港) |
海外用レンタル 携帯電話 |
海外用レンタル携帯電話がレンタル料半額、 通話料10%オフで提供される。 (対象空港:成田国際空港、関西国際空港、 羽田空港第3ターミナル) |
国内 レンタカー優待 |
オリックスレンタカー、トヨタレンタカー、 日産レンタカー、ニッポンレンタカー、 タイムズ カー レンタルの基本料金が5%オフに |
カーシェアリングサービス 「タイムズ カーシェア」 |
カーシェアリングサービス 「タイムズ カーシェア」で、 通常1,650円(税込)の会員カード 発行手数料が無料になる |
グローバル・ ホットライン |
海外旅行中、レストラン予約やカード付帯保険の 問い合わせ、医療機関の紹介などについて 日本語で対応してもらえる。 通話料無料、またはコレクトコールによる24時間対応 |
これらは、VISAやマスターにも一部付帯するサービスだ。
特徴3,ANAグループの優待特典を利用できる
「ANAアメリカン・エキスプレス一般カード」では、ANAグループにおいて割引優待などが提供される。優待内容は以下のとおり。
優待対象 | 優待内容 |
ANA国内線・国際線機内販売 | 10%オフ |
空港免税店 | 5%オフ |
ANA FESTA(空港内店舗) | |
ショッピングサイト 「ANAショッピング A-style」 |
|
新宿高島屋SHILLA&ANA(免税店) | |
ANAビジネスソリューション 公開講座受講料 |
15%オフ |
セントラルパーキング成田 | 駐車料金特別割引+マイル付与 |
IHG・ANA・ホテルズグループジャパン | お得な宿泊料金よりさらに5%オフ |
レンタカー割引 | 国内ではニッポンレンタカー、 トヨタレンタカー、オリックス レンタカーが5%オフ。 海外ではハーツレンタカーが5~20%オフ |
こちらも、すべてのANAカードで提供される優待だ。
特徴4,海外・国内旅行傷害保険、ショッピング保険が付帯
「ANAアメリカン・エキスプレス一般カード」は空港ラウンジサービスだけでなく、海外旅行傷害保険と国内航空傷害保険、ショッピング・プロテクション(ショッピング保険)と付帯保険が充実しているのも特徴だ。
・旅行傷害保険……海外最高3,000万円・国内最高2,000万円、家族特約あり
海外最高3,000万円、国内最高2,000万円の旅行傷害保険が付帯。いずれも、旅行代金をカード払いした場合にのみ付帯する「利用付帯」であり、家族カードを持たない家族にも保険が適用される。
ここでいう「家族」の範囲は、会員の配偶者のほか、会員と生計をともにする子、両親などの親族を含む。ただし、その家族が働いていて収入がある場合は適用外となることがある。
海外旅行傷害保険(利用付帯)
保険項目 | 保険金額 | |
本会員・家族会員 | 家族特約対象者 | |
傷害死亡・後遺障害 | 最高3,000円 | 最高1,000万円 |
傷害治療費用 | 最高100万円 | |
疾病治療費用 | 最高100万円 | |
賠償責任 | 最高3,000万円 | |
携行品損害 ※免責3,000円 年間限度額100万円 |
1旅行中最高30万円 | |
救援者費用 | 保険期間中最高200万円 |
国内旅行傷害保険(利用付帯)
保険項目 | 保険金額 | |
本会員・家族会員 | 家族特約対象者 | |
傷害死亡・後遺障害 | 最高2,000万円 | 最高1,000万円 |
・ショッピング・プロテクション(ショッピング保険)……最高200万円
国内外においてカードで購入した商品が、購入日から90日間に破損や盗難などの損害を受けた場合、年間最高200万円まで補償される(免責金額:1事故1万円)。
8,ANAアメリカン・エキスプレス一般カードの2つのデメリット 年会費以外の注意点
「ANAアメリカン・エキスプレス一般カード」は「ANA VISA・マスター一般カード」よりも年会費が高く、マイル獲得率だけを考えるとコスパが悪いというのは、これまで解説してきた通りだが、他にも特に注意しておきたい点が2つある。
デメリット1,国内旅行傷害保険では入院や手術費用は補償されない
国内旅行傷害保険は「死亡・後遺障害」のみ補償対象となっている。入院、手術、通院に対する補償はない。これは、年会費とのバランスを考えると少々物足りない印象だ。
デメリット2,国際ブランドがアメックスのみしか選べない
アメックス発行カードなので、国際ブランドはもちろんアメックスのみ。国内ではアメックスはJCB加盟店でも使えるため使い勝手的にあまり問題はないが、海外ではVISAやMasterCardと比較すると加盟店数が少ない。海外旅行時にはVISAブランドかMasterCardブランドのカードも持っていく必要がある。
9,ANAアメリカン・エキスプレス一般カードはどんな人におすすめ?陸よりも空での利用が多い人に
ANAグループ利用時にポイント1.5倍になること、空港ラウンジサービスが付帯することを考えると、ANA便による空の旅、特に国内旅行が多い人におすすめできるカードといっていいだろう。
「ANA VISA/マスター 一般カード」などほかのANA一般カードと、どちらを選ぶかという点については、空港ラウンジの必要性と旅行傷害保険の補償金額で判断することになる。そういった特徴を考えると、陸でマイルを貯める目的よりも航空機利用でのマイルを効率的に貯め、空港での時間を快適にしたい人におすすめできるだろう。
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