コロナは2019年末まで「ただの風邪」だった
当時この仮説に無理があると思われたのは、インフルに干渉して集団免疫になるには、かなり早い時期からコロナが大流行している必要があり、その証拠が見られないためだった。
だがイタリアの下水に2019年12月に新型コロナウイルスの遺伝子の痕跡が見つかり、その後も世界各地で2019年の下水に新型コロナウイルスの痕跡が見つかった。
新型コロナは2020年2月にクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で集団感染が起こったため、世界的に注目されたが、それまでは中国政府が大流行を隠していたため、誰もそんな新しい感染症が流行しているとは思わず、検査もしなかった。
これまでコロナの感染経路は武漢(2019年末)→日本(2020年2月)→ヨーロッパ(3月)の順番だと思われていたが、もっと早く世界に広がった可能性がある。
2月には抗体検査の結果から「日本にはほとんど新型コロナウイルスは存在しない」といわれたが、1月までに大流行が終わっていたとすれば、その痕跡を見つけるのはむずかしい。
ウイルス干渉説が正しいとすれば、流行は次のような順序だった。
2019年秋:武漢で大流行が起こる 同12月:世界に新型コロナの隠れた流行が広がる 2020年1月:ウイルス干渉でインフルが消える 同2月:WHOがCOVID-19と命名 同3月:ヨーロッパで大流行が始まる
新しいウイルスが騒がれ始めたのは、ダイヤモンド・プリンセス事件の起こった1月末だった。それまではただの風邪として見過ごされていた。症状は普通の風邪より重く、私も2019年11月に38℃の熱が出たことがあるが、風邪薬を飲むだけで終わった。
2月にアジアで流行したときも大した問題にはならなかったが、3月にイタリアで変異した(と思われる)ウイルスは、白人の致死率が上がったため注目された。
これが3月末に日本にも入ってきたが、日本人は(それまでの軽いウイルスで集団免疫ができていたためか)死者はほとんどなく、インフルが減ったため、2020年は約3万人の過少死亡になった。