1日3分あればできるタイムログの実践法
では、予定通り仕事を終わらせるためにはどうすればいいのか? 自分が実際に使える時間を正確に把握するために、タイムログを取ることだ。
ローラも次のように提案する。
時間を有効活用する第一歩は、自分の時間の使い方を知ることだ。今日から一週間(数日でもかまわないが、理想は一週間だ)、自分の行動と、それを行なった時間を、できるかぎり記録していこう (引用:うまくいっている人は朝食前にいったい何をしているのか 同上)
彼女は対談で「忙しくて時間の記録なんて取れない!って人に対してなんて言うの?」との質問に「私が(時間の記録に)使ってる時間は1日に3分くらい。1日に3回、毎回1分チェックするだけ。歯を磨く時間と同じくらいよ。だからもし歯を磨く時間すら取れないって言うなら……しかたないわね」と答えた。
ローラが1日に3分と言ったのは記録をふりかえる時間だろう。実際にやってみればわかるが、時間を記録する作業自体はほとんど時間を要しない。時間がないからやれないのは理由にならないとローラは言いたかったのだ。
では具体的にどうやってタイムログを取ったらいいのか。
単純にタイマー・時計を使って紙に行動を記録してもいいが、スマホアプリをはじめとしたデジタルツールの活用をオススメしたい。
筆者は「たすくま」という有料のiPhoneアプリを使用しているが、無料で使えるツールなら「Toggl Track」がオススメだ。Webブラウザ・モバイルアプリいずれでも使え、操作方法もシンプルでわかりやすい。
しかし、どのツールを使うかはそれほど重要ではない。大切なのはとにかく1週間でいいので、記録を続けることだ。全ての行動記録を取ることはむずかしいかもしれない。その場合は、ルーティンタスクと割り込みに費やす時間だけでもできる限り正確に記録する。
記録が取れたら、ルーティンタスクと割り込みの1日あたりの平均時間を出す。そうすれば、自分が1日に実際に使える時間がわかるはずだ。そうすれば無理な計画を立てなくなる。予定通り仕事が終わる可能性が高まるはずだ。
ピーター・ドラッカーは「時間を管理するには、まず自らの時間をどのように使っているかを知らなければならない」と言った。
筆者も長時間労働に悩んでいた頃は時間の記録を取ることからはじめた。「見えない時間」が見えるようになり、自分の実際に使える時間の少なさに驚いた。それからは無理な計画を立てなくなり、しばらくして「残業ゼロ」を達成した。
時間の記録は時間管理で最も重要な行為の一つだ。抵抗はあるかもしれない。でも本気で働き方を変えたいなら、1週間だけでもぜひ記録を取ってみてほしい。やるだけの価値はきっとある。
■
滝川 徹(タスク管理の専門家) 1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に自身が所属する組織の残業を削減した取り組みが全国で表彰される。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。その体験を出版した『気持ちが楽になる働き方 33歳大企業サラリーマン、長時間労働をやめる。』(金風舎)はAmazon1位2部門を獲得。2018年に順天堂大学で講演を行うなど、現在は講演やセミナー活動を中心に個人事業主としても活動している。
【関連記事】
長時間労働で悩んでいた頃の僕がどうしても知りたかった、仕事を断る具体的な方法 会社員だからこそ、自分が取り組む仕事を「選ぶ」という姿勢が大切–仕事がデキる人が当たり前にやっている「時間を作り出す必須スキル」 「なるはや病」が蔓延する職場で、締め切りを見誤らない人がやっている交渉術。(滝川 徹 時短コンサルタント) 「時間がない。やりたいことができない」の本質的な問題とその解決策 (滝川 徹 時短コンサルタント) 西野亮廣と村上春樹の仕事の進め方の違いから考える、シンプルで効果的な仕事術 (滝川 徹 時短コンサルタント)
編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2023年1月12日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。