一日の終わり、未完了の項目だらけのタスクリストを見て「今日も全然仕事が終わらなかった……」と徒労感に襲われたことのある人は少なくないだろう。
こういうとき多くの人は、仕事が全て終わらなかったのは自分の仕事のやり方もしくは能力に問題があるのだと考える。しかし実は、本当の原因は別のところにあると筆者は考えている。
それは、タスクリストにある仕事とは別に、無意識・無自覚に消費している時間があることに気がついていないことだ。
この「見えない時間」の正体を突き止め、明らかにすることによって初めて、仕事は予定通りに終わるようになる。しかもそれは、1日たった3分でできる。
「見えない時間」の正体とは何なのか? どうすればそれを明らかにできるのか? 時短コンサルタントの立場から考えてみたい。

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ローラ・ヴァンダーカムは、視聴回数が1200万回を超えるTEDトーク『自由時間を上手に使いこなす方法(2016年)』で知られる時間管理の専門家だ。ある対談によると、彼女は3年間にわたり自分の時間を記録し続け、無意識に消費している時間が大量にあることに気づいたという。
ローラはそれまでも、不定期に時間の記録を取っていた。その記録から、自分の週あたりの労働時間は50時間程度だと思っていた。しかし継続的に時間を記録してみると、実際には50時間より40時間に近いことがわかった。
50時間働く週がなかったわけではない。しかしその頻度は、20時間働く頻度とそう変わらなかった。週あたりの平均労働時間が50時間ではなく40時間なら、あとの10時間は何に使われているのか。時間管理の専門家であるローラにさえ、はじめはわからなかったという。
蓋を開けてみると10時間のうち、大半の時間を自分の車の中で過ごしていたことがわかった。彼女は驚いた。自宅で仕事をするので、通勤に車は使わない。彼女は一日に1時間以上、ただ車で音楽を聴いていたのだ。
運動や読書の時間より、車で音楽を聴く時間のほうが長い。時間の記録を取らなければ、このことに気づけなかったと彼女は認める。「もっと自分の時間を意識して使わないといけないわね」とあらためて語った。
この「見えない時間」はローラだけでなく、すべての人に当てはまる現象だ。