だが、先の中間選挙で共和党下院が4年振りに議席の過半数を奪回したことで風向きが変わった。共和党は12月21日、「J6公聴会」の最終報告に先んじて、「影の委員会」による「報告書」を公開した。共和党による逆襲の第一歩といえる。
「影の委員会」とは、共和党下院トップのマッカーシーが「J6公聴会」の委員に指名した議員7名のうちのジム・バンクスとジム・ジョーダンをペロシ下院議長が拒否したため、マッカーシーが残りの人選を取りやめた5名によって構成される共和党下院のJ6調査委員会だ。
「セレクト委員会」はリズ・チェイニーとアダム・キジンガーの2人が、マッカーシーに従わず委員になったので、両党7名ずつのはずが7名vs2名になった。トランプが「アンセレクト委員会」と揶揄する所以がこれだ。因みに先の中間選挙ではチャイニーは惨敗、キジンガ―は立候補を断念した。
141頁に上る「影の委員会」の報告書は、J6の議事堂警備に主たる焦点を当てている。即ち、議事堂警察はJ6の暴力を予想するに十分な情報を持っていたのに、情報部門が「指導者の誤った優先順位によって損なわれていた」とし、また、下院警備隊長が「1月6日以前の脅威環境に十分な注意を払うことを、他のいくつかの予定されたイベントによって逸らされた」と書かれている。
またペロシ側が、彼女が1月6日のセキュリティプロトコルに関する権限を持っていたという下院共和党の主張を繰り返し否定し、日々のセキュリティには関与していないとして、議事堂警察委員会の管理権限は下院と上院の警備隊と議事堂警察で構成されていると主張していることを指摘する。
が、報告書は「下院警備隊から提供された文書によると、当時のポール・アーヴィング警備隊長が、ペロシや他の民主党のスタッフに明確に敬意を払いながら職務を遂行したことが判る」とし、下院が開会中の場合、下院警備隊は「議長の指示により秩序を維持」することになっているとの下院規則を指摘し、加えて1月6日に至るまでのペロシのスタッフと下院警備隊長の間で交わされた、安全に関する勧告についてのやりとりの記述もある。
共和党は21年2月の時点で、この報告書と同様にペロシの責任を問う主張を含む質問書をペロシ下院議長に提出していた。筆者もそれについて本欄に寄稿したが、あれから2年が経ち、共和党下院が多数派となって主要委員会の委員長を独占することで、J6事件の真相も解明されることを望む。
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