著名人の暴露本は人気がある。英王室から追放されたヘンリー王子(38)が英王室時代の出来事を書いた自伝「スペア」(SPARE)が10日、発表されるが、スペインで間違って早く公表されたこともあってメディアでは今年に入り、同自伝の中で興味深い話が既に報じられている。その結果、王子の自伝に関する関心は高まり、ベストセラー入りは確実で、出版社も大喜びといった状況だ

ヘンリー王子の自伝「スペア」とゲンスヴァイン大司教の新著「Nothingbutthe Truth」
王子の自伝の中には、ヘンリー王子がメガン妃の件でウィリアム皇太子(40)と喧嘩し、兄のウィリアム皇太子から暴力を受けたという話から、ヘンリー王子がアフガニスタンに従軍していた時、25人のタリバン兵士を殺害した、といったかなり際どい内容まで書かれているという。兄弟喧嘩はどこの社会でもあるから問題はないが、後者は英軍関係者も深刻に受け止めている。英国の国家安全保障を危険にさらす事態も予測される。タリバンも黙ってはいないからだ。
また、ヘンリー王子は父・チャールズ国王(74)に対してもその人物評は厳しい。新国王は冷たい人間だと切り捨て、自分が生まれた時、ダイアナ王妃に対し「これで後継者(ウィリアム皇太子)とそのスペア(ヘンリー王子)ができた」と語ったという。ヘンリー王子はその話を聞いて、自分が英王室のスぺア的な存在に過ぎないと感じ、自虐的に受け止めたとしても不思議ではない。
ヘンリー王子の暴露本を紹介するのが今回のコラムの目的ではない。読者の多くは既にご存じだろう。ここではもう一つの暴露本がまもなく出版されるという話を紹介したい。世界に約13億人の信者を有するローマ・カトリック教会の総本山、バチカン教皇庁は英王室と同様、閉鎖社会だ。その中心はペテロの後継者のローマ教皇だ。そして昨年末に死去した名誉教皇ベネディクト16世の私設秘書ゲオルグ・ゲンスヴァイン大司教がフランシスコ教皇とベネディクト16世に仕えてきた聖職者の立場から、両教皇の関係や問題などを暴露した本を出版したのだ。同暴露本「Nothingbutthe Truth」がフランシスコ教皇を批判していることから、バチカン関係者は心穏やかではない。予定では今月12日に出版される(電子版)。