次に仮に素晴らしい銘柄を見つけた場合のケースです。わかりやすく一例を出しましょう。2022年に最も熱かった銘柄と言えば半導体関連のレーザーテック社で異論はないはずです。2019年年初の頃は株価は1300円程度、2020年年初が5500円程度、2021年年初が14000円程度、2022年初は35000円になります。3年で27倍です。が、2022年は崩れるのです。10月には14000円台と大暴落、その後、ひと月半で29000円と2倍になり、現在は再び下落し、23000円程度となっています。
半導体製造メーカーは確かに日本のお家芸的なところがありますが、それにしてもこの株価の変動では初心者は惑わされるだけなのです。私の想像では70%の方は投資をしてもよいけれどある程度安定的に儲かってくれればよいと考えています。この意味は配当金が2-3%/年つき、元本割れせず、株価がゆっくりでも右肩上がりの成長をする会社です。
そんな会社があるのでしょうか?例えば36年間増収増益のニトリの株価は2018年まで業績と連動し、右肩上がりだったのですが、それ以降は激しく上下しています。そして現在も2018年の水準を回復できません。22年連続増益のGMOも株価は近年、3-40%の幅で振れています。つまり、どれだけ良い会社でも株価は素直ではないのです。では一般投資家がそんなじゃじゃ馬を乗りこなせるのか、これが疑問なのです。
一昨年、日本の取引先銀行の営業攻勢に負けて法人を通じて投資信託を購入しました。元本割れしない仕組みでした。初めの数か月は担当から「育っています、今、〇〇円です」といちいちメールが来ていたのにしばらくしたら来なくなります。気にもしていなかった昨年のある時、「すみません。元本割れになりそうなので清算となりました」と。1年で500万円に対して9000円だけリターンがありました。利回りにして0.2%以下。それぐらい日本の株式市場は難しいのです。儲かりにくい、と言ったらよいでしょう。
いや、儲ける方法はあります。十分勉強して、どん欲にならず、機械のように売買を繰り返せば爆笑できなくてもかなり笑えるぐらいのリターンはほぼ確実に取れます。が、そんなことできる人は1000人に1人ぐらいなのです。国家が成長し、人口が増え、優秀な従業員が確保でき、企業が開発に勤しむ土壌がない限り、国民に資産所得倍増プランなんてぶち上げても無理なのです。
一番簡単な方法は日銀が政策金利を上げたらいいと思います。利息が2倍になればそれでも資産所得倍増達成です。考え方一つですけどね。
日本の株式市場が長期的に光が当たると考えている海外投資家や海外ファンドマネージャーはほとんどいないと思います。個別銘柄はありますが、日本全体や産業全体でみればその魅力はどんより曇っています。当地でアジア株の投資信託の目論見を見ても日本株の組み入れは少ないのです。プロの目はシビアなのです。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年1月10日の記事より転載させていただきました。