もちろん、その背景には老後の生活に自助努力という発想を取り込むことがあるかと思います。今までは年金で悠々自適の暮らしなどという人もいました。しかし、余命が長くなる中でリタイア後の人生をどう過ごすか、という中で年金だけで30年も暮らすのは現実性が乏しくなってきたことはあるでしょう。またサラリーマンは給与天引きで2階建て3階建ての年金システムがありますが、自営業者はそれがほぼありません。国民年金なら満額で月々65000円程度で、これではどうにもならないという現実もあるのです。

そこで政府は様々なプランを提示しているわけです。NISAの恒久化とか、iDeCo(イデコ=個人型確定拠出年金)の拡充などがプランされ、更にマネーの教育も進める計画になっています。マネーの教育の背景は国民の7割が投資に否定的でその理由は、損をするかもしれない(4割)、仕組みややり方がわからない(3割)などとなっています。

さて、これについてどう考えるか、です。個人的意見を先に述べるとこのプランは低調な成果に終わると思います。理由は少子化対策と同じで本質をついていないのです。損をするかもしれないと思わせる人たちを逆転させる動機に乏しいのです。いくらNISAが恒久化されようがiDeCoが拡充しようがそれで損するかもしれないという心理が逆転するわけじゃないのです。

ズバリ、一言。 投資をして儲かれば誰もがやるようになる!

それだけの話です。別に仕組みの問題じゃないのです。ご記憶にあるかと思いますが、ビットコイン狂騒曲の際には多くの「億り人」が生まれ20代の若い会社員の女性がクレジットカードでビットコインを一生懸命買っていたという逸話もありました。今から見れば1929年のNY株式市場の大暴落直前や1989年の日本のバブル崩壊前夜の街中が踊り狂っていた時と同じで、儲かるとなればマネーは勝手に投資にシフトするのです。

投資にネガティブな高齢者の方々の多くはバブル期の投資が塩漬けになったことがトラウマになったとされます。しかし、安倍政権時代に株価が上昇し、塩漬け株の流動化が出来て高級時計など高額商品が飛ぶように売れたという報道も記憶にあるかと思います。これも結局、儲けが出ればマネーはそちらに必然的に引っ張られるのです。

言い換えれば普通預金や利息がほとんどつかない定期預金にお金を入れている人たちは「そういうチャンスを待っている」という意味も当然あり、そのタイミングがいつまでたってもやってこないとも言えるのでしょう。

ではタイミングは来るのか、そしてそこにうまく乗れるのか、です。

あくまでも日本の株式市場に限定した話をします。日本企業の株価は上がるのでしょうか?バブルの頃はどの銘柄も上がったのです。だから何を選んでもさほど外さなかったのです。今、日本は成熟しています。となればどの業種でもどの銘柄でも大丈夫という訳がないのです。