また、年齢を重ねると行動の一挙手一投足にリターンを求めるようになってしまいがちだ。そのため、明確なリターンが示されない不確定性の高いものには、積極的に挑戦できなくなる。脳の前頭葉の萎縮に伴う意欲減退に加えて、過去の経験がジャマをして「どうせやってもこういう結果になるだろう」と決めつけたものの見方をしてしまうことで起きてしまうのだ。その結果、自分がよくわかっていない未知の対象に手を出すのが億劫になり、ドンドン世界は狭くなっていく。さらに日常生活や仕事、育児以外に使える可処分時間も制限されるのでその傾向はますます強くなる。

「若い内に遊びなさい」という言葉があるが、この指摘は的を得ている。歳をとった後では、若い時にしていたような遊びや活動的な行動は難しくなり、代わりに実利的な目的で行動することにスイッチングしていく。つまり、行動モードに変化が起きるのだ。つまり、今やれていることも将来、また違うモードに変わってできなくなる可能性もある。だからこそ、人生で一番若い今やりたいと思っていることは、絶対に先送りにせず今すぐ全部やり尽くすくらいの気持ちを持つべきだろう。

今やっている仕事はいつかできなくなる

世の中は絶えず代わり続けていく。そしてその変化の速度は時代とともにドンドン早くなっていく。技術の進展によって、既存の仕事に市場ニーズが失われ将来的に失業する可能性は常に考えながら人生設計をするのが良いのではないだろうか。

先日、高騰を続けるインフレに対応する施策の一環なのか、アメリカのノーステキサスのマクドナルドにおいて完全自動化の無人店舗をテストオープンしたことが話題になっている。

▲こちらの動画で無人店舗の様子を見ることができる

店内は完全に無人で、トイレはあるものの座って食べるためのテーブルや椅子は確認できない。ドライブスルーも無人で対応する。おそらく、出来上がっている商品をすぐに受け取れるgrab-and-goコンセプトなのだろう。

かつて1980年代の米国において低賃金の単純労働であると、マクドナルドのアルバイト職をMcJobというスラングが生まれた。このワードはCollins English Dictionaryにも掲載されている。だが、このテスト店舗が完全に機能すれば恐ろしいことになる。そのMcJobが姿を消すことになりかねないからだ。もちろん、営利企業である以上、採算が取れる前提でなければ拡充することはないだろうが、テクノロジーの進展と低コストの伸びしろは十分残されていると想定されることから、遠からず辞書からMcJobが消えてしまう可能性もありえる。

このような現象はクリエイティブにも及んでいる。昨今の例で言えばAIによる絵の作成技術は絵師の立場を脅かすレベルに到達したと指摘する人もおり、人間の仕事の中には消えていくものも現れてきた。