どうしてもデジタル化を急ぐべき深刻な理由
なぜ政府はマイナンバーカードの普及と各種デジタルサービスの開始を急ぐのでしょうか?
すでに、日本の一人当たりGDP(Gross Domestic Product:国内で生産されたモノ・サービスの付加価値を表すもの、国内総生産)が、韓国や台湾に追い抜かれようとしています。
日本経済研究センターは2022年12月、個人の豊かさを示す日本の一人当たりの名目GDP(年間の経済活動の水準を算出したもの)が2022年に台湾、2023年に韓国をそれぞれ下回るとの試算をまとめました。
この順位の入れ替わりは偶然ではありません。デジタル化で後塵を拝し、労働生産性で伸び悩んでいることが大きな原因の一つです。デジタル化に舵を切らなければ、今後も順位を下げ続けていくでしょう。
そのほか、日本は人口減少や高齢化といった問題も深刻化しています。現実問題として、デジタルによる生産性向上、自動化への道筋を付けなければ、当たり前にあった行政サービスが継続できなくなる可能性が高くなります。
こうした背景から、政府はマイナンバーカード普及によって、海外に比べ遅れに遅れている行政サービスのDX化を急ぎたいと考えているのです。
マイナンバーカード利用に向けた自治体の取り組み例
マイナンバーカード利用に向けた取り組みが、各自治体で始まっています。具体的な例として、渋谷区の地域通貨「ハチペイ」をご紹介します。
出典:ハチペイ
ハチペイは、渋谷区限定で利用可能な電子通貨アプリ。渋谷区民であることを確かめるためにマイナンバーカードの署名用電子証明書を活用していることが特徴です。
現在ハチペイアプリは、渋谷区民限定特典として、1万円分のチャージで1万5,000円分のハチペイデジタル商品券が付与されます。
これで、これまでのように決められた時間に、特定の会場に行って紙のプレミアム商品券を受け取るという手間がなくなります。
before
紙でのプレミアム商品券は、早い者勝ちのため、受付会場にて朝早く並んで受け取れる時間のある一部の住民のみがプレミアム付商品券を購入after
ハチペイアプリからマイナンバーカードで認証をすると、デジタルプレミアム付商品券の購入がいつでもどこでも可能になる
プレミアム付商品券がデジタル化されるメリット
そもそも、地域限定のプレミアム付商品券がデジタル化されると、どんなメリットがあるのでしょうか?
【ユーザーメリット】
1.プレミアム付商品券をなくす心配がない(スマホさえ持っていれば大丈夫)
2.電子化すると端数処理ができるので、少額でも使うことができる(お釣りがないといった心配がない)
【自治体メリット】
1.事務負担の軽減
2.印刷、紙面コスト削減
行政にとっても、市民にとっても優しい取り組みと言えます。