フリーランスとジョブ型雇用の共通点
以上4つの姿勢について触れましたが、私がこの中で最も大事な土台にあたる部分と考えるのが自立性です。
やはり自立していなければジョブ型雇用のような「より個人にキャリアが委ねられ、主体性が必要になる働き方」はできないと思うからです。
そして、HELP YOUの事業を運営していて感じるのは、フリーランスで活躍してる人はこの4つの姿勢を体現されているということです。
つまり、従来は会社とそれに従属する社員という立場が基本でしたが、ジョブ型雇用が広まると、働き手はフリーランスのような姿勢が求められるようになると思います。
労働人口の減少を迎える日本において必要な打ち手とは?
最後に、私たちが考える働き方の未来について触れたいと思います。
2008年をピークに人口減少時代を迎えている日本において、将来的に懸念されているのが働き手の不足です。
2025年を境に団塊世代(1947~1949年に生まれた世代)のすべてが75歳以上の後期高齢者となり、さらに2040年には団塊ジュニア世代(1971~1974年に生まれた世代)が65歳以上となります。
私は今41歳ですが、1980年代は120〜150万人ほどの子どもが生まれていた一方で、現在は80万人程度です。高齢化とともに出生数の減少が進むことで経済活動の主な担い手となる生産年齢人口(15〜64歳)は当然減っていきます。
このように、労働人口の減少が一層深刻となる未来では、労働力不足に対して一人ひとりが持つ能力やスキルを世の中でシェアしていくことが一層求められていくのではないでしょうか?
企業は直接社員を雇用する形態だけでなく、外部の力を活用し事業を推進するアウトソーシングの形がさらに広まっていくと考えています。
また、世の中には優秀なスキルやキャリアを持ちながらも、パートナーの転勤に伴う退職、子育てや介護といった都合で会社勤めが難しい人が多くいますが、その事情に沿った働き方の最適化はまだ進んでいないのが実情です。
私たちが運営するHELP YOUでは、場所や時間にとらわれずに働ける環境を用意し、働く選択肢を持てるサービスを目指しています。
そして実際に、これまでは働くことを断念していた人々がそれぞれのスキルやキャリアを存分に活かしながら活躍してくれています。
この先の日本の労働環境では多様性を積極的に活かしていく観点が欠かせません。
そして、従来のような雇用の在り方だけではなく、自由度の高い働き方ができる方が増えていくことで労働人口の減少という社会課題の解決の一助になります。そのための第一歩がジョブ型雇用の広まりだと考えています。
【参考】
総務省「平成30年版 情報通信白書 人口減少の現状」
厚生労働省 広報誌「厚生労働」
厚生労働省「出生数、合計特殊出生率の推移」
日本経済研究センター「社会保障2040年問題 団塊ジュニア引退がもたらす一大危機」
<著者プロフィール>
秋沢崇夫
株式会社ニット
代表取締役社長1981年東京都生まれ。青山学院大学卒業。2004年株式会社ガイアックスに入社し、営業、事業開発に関わり、営業部長に。32歳で退職後、一人旅の最中にリモートワークを経験。「このスタイルであれば場所や時間にとらわれることなく自分らしい生活を実現できる」と実感し、さまざまな働き方や生き方の選択肢があってもいいのではないかと考えるように。帰国後「多くの人の働く選択肢を増やしたい」との思いからオンラインアウトソーシングサービス「HELP YOU」を立ち上げる。