ロシアの憲法によると、最高指導者は大統領、第2位はミハイル・ミシュスチン首相(56)、第3位は連邦議会のワレンチナ・マトヴィエンコ議長(73)、第4位は下院のヴャチェスラフ・ヴォロージン議長(58)だ。もちろん、プーチン氏のウクライナ戦争に不満をもつ一部の軍指導部のクーデターも完全には排除できない。同時に、メドベージェフ氏が軍指導部に担ぎ出され、カムバックするチャンスも十分に考えられる、同氏の最近の言動はその可能性を匂わせている。

現憲法に従うならば、ミシュスチン首相が暫定大統領になり、その3カ月以内に選挙が行われ、そこで新大統領が選ばれる。誰が最終的にプーチン氏の後継者になるかは不明だ。プーチン氏自身、自身の後継者を決めていない。プーチン氏は自身の権力を継承する“皇太子”を不在にすることで、自身のトップの座を堅持してきたからだ。

ロシア軍がウクライナに侵攻して今月24日で10カ月が過ぎた。プーチン大統領はここにきて停戦についてその可能性を示唆しているが、ロシア側からもウクライナ側からも実効性のある停戦案は聞かれない。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍が占領した全領土からの撤退を停戦の条件に挙げ、譲歩していない。ロシア軍の弱体化は歓迎すべきだが、ロシアとの全面的戦闘は回避したい米国側の狙いとはその意味で完全には一致していない。