低価格のイタリアンレストランを経営するサイゼリヤが発表した2022年8月中間期の連結決算は、営業赤字だったものの、最終黒字が50億円となった。本業は赤字なのに黒字を確保できた背景には、コロナ禍特有の「75億円」の収益の存在があった。

サイゼリヤの営業損益は赤字だが……

サイゼリヤの2022年8月中間期(2021年9月〜2022年2月)の連結決算は、売上高が前年同期比10.1%増の692億1,100万円で、必要経費を引いた営業損失は4,600万円(前年同期は損失7億8,200万円)だった。

一方、経常損益と最終損益は前年同期の赤字から黒字に転換し、経常利益は76億6,300万円、純利益は50億3,100万円となった。

同社の損益計算書を見ると、経常、最終損益の黒字化に貢献した最も大きな要素は、営業外収益に計上される「補助金収入」だった。これは新型コロナウイルス感染症が全国的に拡大する中、政府や各自治体の時短営業の要請に応じた際に支給された「協力金」を指す。

ガストを有する競合すかいらーくHDの動きは?

すかいらーくHDはどうだろうか。新型コロナウイルスの影響に相当苦しんだ同社は、2021年12月期の連結業績の売上予想を下方修正した。中長期的な視点で3段階のフェーズを設け、「食の総合型企業」への変革を目指すとしている。同社がいう食の総合型企業とは、「外食・中食・内食まで視野に入れた暮らしの隅々にわたるサービスを提供する企業」のことだ。

第1フェーズ(2021~2022年)では高収益体制の確立を実現し、第2フェーズ(2022~2025年)では新たな事業の研究開発や実験の推進、第3フェーズ(2025年~)では事業の収益拡大やM&A(買収・合併)による会社規模の拡大を計画しているという。

外食大手の2023年の動向にも注目

2022年後半には、さまざまな制限が解除され、人流もかなり戻ってきている。コロナ禍の出口も見えてきた2023年、外食産業大手がどのような動きを見せていくのかにも注目していきたい。

文・MONEY TIMES編集部



【お詫びと訂正】
2022年12月28日に配信した本記事の一部の見出しにおきまして、「サイゼリヤ」を「サイゼリア」と誤って表記している箇所があり、当該部分を訂正いたしました。読者の皆様、ならびに関係各位に深くお詫び申し上げます。
2022年12月29日