1. 就業率の特徴とは

    今回はOECD各国の現役世代の就業率について眺めてみました。

    日本の男性労働者は、低下傾向の続く他国に対して、最も高い水準が続いています。女性労働者では各国とも上昇傾向の中、日本も上昇傾向が続いています。

    ただし、女性の場合は比較的高い水準ながらもドイツより低く、イギリスやカナダと同程度です。

    労働者数の変化の中で、少子高齢化や失業率などがフォーカスされがちですが、就業率も非常に重要な観点だと思います。

    図5 1人あたりGDP 名目値 2019年OECD統計データ より

    日本より就業率が低くても、等価可処分所得の高い国はたくさんありますね。

    等価可処分所得は、再分配後の可処分所得について、世帯人員の平方根(√)で除して調整した数値です。

    日本は給与水準は他国と比較しても低い方ですが、就業率が高いため等価所得での給与所得は順位の割に高めです。

    一方経常移転給付や財産所得が少なく、合計した等価可処分所得では36か国中20番目と下位になります。

    日本は、先進国の中で再分配後の可処分所得が低いだけでなく、所得格差が比較的大きく、貧困率が高い国です。(参考記事: 「所得格差(ジニ係数)」って何?、 「貧困率」の高い日本の現役世代)

    フランスは日本よりも就業率が低く、失業率の高い国ですが、再分配後の等価可処分所得は日本より高いですね。そしてフランスは再分配後の貧困率が低く、所得格差も小さい特徴があります。

    現在の日本は雇用を優先し、価値の低い仕事をあえて多くの労働者で分け合うようなワークシェアリングをしているような状況に見えます。

    それでも再分配後の所得が低く、所得格差が比較的大きく、貧困率が高いというのはどこかバランスを欠いているように思います。

    皆さんはどのように考えますか?

編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2022年12月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。