<事例1c>衆・厚生労働委員会2010/05/14

大村議員:きょうから協議が始まりました。この和解について、あなたはどういう立場で臨まれますか。

山井政務官:大臣が答弁されましたように、裁判所を仲介にして誠実に話し合いをしてまいりたいと考えております。

大村議員:和解にならなかったらあなたは議員をやめますね。答弁ください。

山井政務官:まさに、つい先ほど和解協議のテーブルに着くという回答をしまして、これから裁判所を仲介とした話し合いが始まるというところでありますので、いい方向に進むように私も努力をしたいと思いますし、裁判所を仲介として適切な話し合いがこれからなされることを期待しております。

大村議員:まるで人ごとのような答弁でしたね。あなたはずっと、この前まで言ってきたんですよ。そのことを、もう全部議事録は残っているわけですから、あなたが政治家として言ってきたことをしっかりとやっていただかないといけない。要は、和解にならなかったらやめるのかどうか、そのくらいの覚悟で臨むのかということを聞いているんだけれども、全然お答えにならない。この間もそうでした。そういう意味で、今回の問題について、今の人ごとのような答弁、まさに腰が引けていると言わざるを得ない。あなたの政治家としての資質を問われるということを申し上げたいというふうに思っております。

ちなみに民主党政権が終わると、山井議員は晴れて民主党政権前のスタンスに戻りました(笑)。行政の立場を理解している議員が、その立場を悪用してこのような人格攻撃を繰り返すのは本当に無責任の極致です。

<事例2>もう一つの事実

<事例2>NBCテレビ『Meet the Press』2017/01/22(抄訳)

チャック・トッド氏(NBCキャスター):説明して下さい。なぜトランプ大統領はショーン・スパイサー報道官にすぐにバレる嘘(トランプ大統領就任式に集まった群衆の数が過去最大であったという嘘)をつかせたのですか。大したことではありませんが、報道官に就任して最初の声明から嘘ですよね?

ケリーアン・コンウェイ氏(トランプ大統領顧問):いいえ違います。そんなに大げさに言わないで下さい。あなたは嘘と言うかもしれないけれども、スパイサー報道官は「もう一つの事実(alternative facts)」を伝えたのです。

チャック・トッド氏:ちょっと待ってください。「もう一つの事実」など事実ではありません。嘘です。

過去に大統領就任式に集まった群衆の数が最大であったのはオバマ大統領の就任式であり、スパイサー報道官が伝えた「トランプ大統領の就任式に集まった群衆の数が過去最大」というのは明確なフェイク・ニュースでした。ただ、トランプ政権にとっては真実を認めることはプライドが許さず、また映像という客観的証拠がある以上、虚偽情報をそのまま流布し続けることも不可能でした。

二者択一の質問に回答できないコンウェイ氏は、とっさにフェイク・ニュースを「もう一つの事実 alternative facts」と言い換えました。名探偵コナンも言うように「真実はいつも一つ」であり、パラレル・ワールドが発見されない限り「もう一つの事実」がないことは自明です。

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