ソフィアン・アムラバト

モロッコ代表:フィオレンティーナ(イタリア)

MFソフィアン・アムラバト。1996年8月21日生まれ。オランダ出身の26歳。背番号4を背負い、「3つの肺がある」と言われるほどの豊富な運動量でモロッコ代表の中盤に君臨。DFラインの前で鋭い読みと激しいタックルで防波堤の役割を完璧にこなし、ベルギー、スペイン、ポルトガルといった強豪の猛攻を跳ね返し続けた。その上でカウンターの起点として的確なパスを前線に配給。敗れた準決勝フランス戦でも、リーダーシップを発揮しながら最後まで走り続け、ワールドクラスの実力者であることをピッチ上で証明し続けた。

キャリアを振り返ると、前回のロシアW杯に出場した後、クラブ・ブルッヘ(ベルギー)からヴェローナを経て、現在はフィオレンティーナでプレー。同クラブ加入の際には1800万ユーロ(約26億円)の移籍金が支払われ、現在の移籍金の設定額は3000万ユーロ(約43億円)とされる。だが、今大会での大活躍で、バルセロナ、アトレティコ・マドリード、リバプール、アーセナルといったビッグクラブから関心を示されており、移籍金の額をさらに上がる可能性あり。それでも「獲得する価値あり」として争奪戦に発展することになるだろう。


モロッコ代表 ハキム・ツィエク 写真:Getty Images

ハキム・ツィエク

モロッコ代表:チェルシー(イングランド)

MFハキム・ツィエクに関しては、ステップアップとは言わないだろう。1993年3月19日生まれの29歳であるということだけでなく、すでにアヤックス時代にブレイクを果たし、現在はプレミアリーグの名門チェルシーに所属しているからだ。だが、現在の立場は「控え」。その役割の中でも昨季はリーグ戦38試合中23試合に出場したが、今季は14試合を終えた段階で5試合(スタメン1試合)の出場のみ。プレータイムは147分しかなく、出場機会の確保に苦しんでいる。

モロッコ代表ではヴァヒド・ハリルホジッチ前監督の解任劇の原因となったが、ワリド・レグラギ新監督の下で臨んだ今大会では準決勝までの全6試合にスタメン出場し、右ウイングの位置で持ち前の技術とアイデアを存分に発揮。繊細な左足タッチからの鋭いドリブル突破と正確なシュートで“違い”を見せ、自らがワールドクラスの実力者であることを再証明した。

この活躍に多くのクラブが関心を寄せ、特にミランが熱心。イタリア各紙によると、今冬の移籍市場で買い取りオプション付きのレンタルでの獲得を望んでいるようだ。一時は本人もミラン入りを熱望していたとされ、今大会の活躍で両クラブの交渉が一気に進むことになるか。それともミラン以外のクラブがツィエクの実力を再評価し、急転直下の移籍決定になるか。少なくとも、普段からこの男を「もっと見たい」と思う者は、確実に増えたはずだ。