悔しさはなくても生きていける

「資本主義社会の本質は競争。他者に打ち勝つ気概なくして生きていけるものか」という意見もありそうだが、自分はそうは思わない。

元々、自分は結構悔しさを感じやすい体質だ。会社員の頃は特にそうで、自分より効率よく仕事をこなしたり成果をあげる自分と年齢が近い社員を見て「他の人はこんなによくやっているのに、自分は会社のお荷物でしかない」「どうやったらあいつみたいに仕事ができるようになるんだ」と毎日、悶絶するほど悔しかったし、その差を埋めるためにかなり頑張った記憶がある。結局、適正がない領域の仕事だったため、常に努力は空回りし続けてずっと悔しい思いをした。その後、起業して退社した。

現在はまったくといっていいほど、競争意識なく仕事をしている。だが、ありがたいことにビジネスは順調にいっている。自己分析すると、差別化しているためだと思っている。ビジネスが横並びの劣化コピーとなれば、必然的に他社を強烈に意識した低価格競争になる。しかし、独自性を打ち出し、誠実に取り組めば「あなたから買いたい」という状態を作ることができる。そうなればライバルがうまくいっていても、そうでなくても売上には影響しないから、他者の動向に興味を失いやがて見なくなる。

自分は自分。人は人。自分がやるべきは、支持してくれる相手を喜ばせることだけに集中するだけで、ビジネスは伸びていく。自分はサラリーマン時代は同僚と成績勝負で常に負け続けて悔しい思いをし続けてきたが、起業してからは「あの人に負けて悔しい」という気持ちを感じた瞬間はまったくないことに気づいた。自分のビジネスは他者と勝負しなくてもいい戦い方をすればいい。

だが最近、数年ぶりに猛烈に悔しいと感じた体験があった。それは今年から始めたストリートファイター5というゲームで、インターネット対戦やトーナメント大会に出場して決定的に敗北した時だ。相手にズタボロに負けることで「ああ、悔しいってこういう感情だったな」と思い出し、同時に数年間悔しさを感じていなかった事実に気づいた。本稿はその結果、執筆されることになった。悔しさを感じなくても、人生は幸せに生きていけるのではないだろうか?

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