黒坂岳央です。
「自分はあの有名人と知り合いだ」
「一度、情報交換しませんか?」
忖度なしでハッキリ言うが、筆者はこうした文脈において「人脈」という言葉を振りかざしてくるタイプが苦手である。彼らからはお金に関する下心以外、何も感じない。
昔は「経営者やフリーの世界は人脈が大事なのだ」とよくある話を真に受け、一時期は恥ずかしながら自分自身が人脈を求めてたくさん人と会っていた時期があった。だが、それは間違っていた。真の人脈とは何らかの見返りを期待して、能動的に作りに行くものではなく、自然にできるものと考える。
今回は筆者が考える「真の人脈」について取り上げたい。

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忌憚なく意見を言うなら、何らかの下心を持って作られた連絡先は双方、どちらかにとっての搾取リストといって差し支えない。これはうんざりするほど自らの身で体験してきた。
「よかったら一度、情報交換のため会ってお話をしませんか?」、世間知らずのピュアだった時期はこういうオファーを真面目に受け取り、必死に相手の役に立つ情報を準備し「お互いにgiveし合うことで人脈はできるはず」と考えて会っていた。情報”交換”というのだから、当然自分はgiveし、相手からもgiveがあるものと期待してしまっていた。だが筆者の行動は今考えると間違っていた。
しかし、情報交換という名目で行われる会合はその実、一方的な情報の抜き取りという搾取に過ぎない。相手はこちらを気持ちよくするために、上手に傾聴の姿勢を見せてくれるが、その下心は今なら透けて見える。また当方の持参した情報を抜くだけで終わらず、勝手に先方の「公式メルマガ」とやらに登録され、迷惑メールが届くようになったり、一度参加するとしつこく返してくれない飲み会という名のハードセールスを受けることになる。これでは騙された気分になるのも無理はないだろう。
同じような経験を何度かして、それ以降は「お互いのメリットがあるよう、今度会いましょう」という類の連絡は一切受けないことにした。相手に下心がある以上は、搾取リストに載せられてしまうだけである。それに直接会わないとできないほど、有益で秘匿性の高い話など世の中にはほとんどない。