自費サービスの利用
昨今、各種の在宅サービスが増えてきています。この中には、公的サービスだけでなく利用制限(時間や曜日など)のない自費サービスもあります。
●自費訪問看護:看護師が自宅に訪問し、医師の指示に基づき吸引や点滴などの医療処置、医療機器の管理などの処置など実施。
保険適用外のため、利用時間帯や曜日などの制限なく、夜間や休日、長時間の利用も可能。
●自費訪問介護:介護ヘルパーが訪問し買い物や掃除、食事や排せつの介助などを実施。 介護保険適用外のため、時間や曜日の制限なく利用可能。
●家事代行:家政婦が自宅に訪問し、洗濯や掃除など身の回りのお世話、庭の手入れやペットの世話なども可能。
●配食サービス:毎日の食事を配達してくれ、同時に安否確認もしてくれます。
●移送サービス:病院や高齢者福祉施設までの送迎を、車いすリフト付き車両で実施。
在宅見取りをはじめ自宅での療養は、短期間とはいえ先の見えない状況が続きます。検討する際には次の項目を再確認し、公的サービスが使えない部分を家族で無理するのではなく、保険外(自費)サービスを活用する事も大切です。
1)本人と家族の意思:本当に自宅に帰るのか。 2)病状により必要な医療処置や介護内容確認:家族でどこまで対応できるか。 3)公的な居宅サービスの利用可能範囲:ケアマネとサービス事業者に確認。 4)家族が無理なく継続できる介護力:家族内で確認。 5)公的サービスや家族でもカバーできない部分の見極め:自費サービス検討。
ご本人と奥様の希望で在宅に移行した事例・利用者:79歳男性 肺がん原発の肝がんターミナル ・身体状況:吸引、PICC、酸素管理 ・ご家族:奥さまと2人暮らし、近隣に別世帯で娘さんがいるがお子さんも小さく、主介護者は奥様。 ・結果:退院3日後、ご家族に見守られながら終了となりました。

(自費による訪問看護料金) 3日間夜間8時間看護:22:00~翌6:00 20,000円+6,000円×(8-3)時間+2,000円=52,000円 52,000円×3日間=156,000円(税別)
ご本人と娘さんの強い希望で自宅に戻った事例・利用者:87歳男性 誤嚥性肺炎後 ・身体状況:気管切開、CVポート、尿バルーン、酸素管理 ・ご家族:夫婦と娘さんが同居、奥様は高齢であり認知症もあるため介護力なし。主介護者である娘さんは、土日が仕事のため不在。近隣に在住の息子さんも介護に協力的ではあるが仕事の合間でしか協力できない。 ・結果:退院後10日間自宅で過ごし、ご家族に見守られながら終了となりました。

(自費による訪問看護料金) 1)8日間 20:00~翌8:00 夜間12時間看護 2)2日間 20:00~翌20:00 24時間看護(看護師2交代制) 20,000+6,000×(12-3)時間+2,000=76,000×8日=608,000円 20,000+6,000×(24-3)時間+¥2,000×2人=150,000×2日=¥300,000 10日間合計 608,000円+300,000円=908,000円(税別)
ご本人とご主人の希望で自宅に戻った事例・利用者:77歳女性 胃がんターミナル ・身体状況:吸引、点滴、CVポート、酸素管理 ・ご家族:ご主人と息子さんの3人暮らし、娘さんは近隣に別世帯で在住。主介護者はご主人のため、24時間看護で対応。 ・結果:退院後7日目の朝、バイタルが下がりご家族に見守られながら終了。退院直後は、自宅で好きなワインやたばこを楽しむ余裕もあり、自宅に帰れたことを非常に喜んでおられました。

(自費による訪問看護料金) 7日間 9:00~翌9:00 24時間看護(看護師2交代制) 20,000+6,000×(24-3)時間+2,000円×2人=150,000×7日=1,050,000円(税別)
ここまで見てきたように、家族による介護力を補う民間サービスが増えてきています。このような社会情勢の変化や家庭環境など踏まえ「自分の人生の最後をどこで迎えるか」検討の一助になれば幸いです。
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小林 由和 株式会社ナースアテンダント 代表取締役 医療業界、医療機器業界を経験後に独立。医療コンテンツ制作、医療人材事業を経て自費看護サービス「ナースアテンダント」を開業。病院のケースワーカー(医療福祉相談担当)やご家族からのファーストコールに日々対応しています。
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2022年12月8日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。










































