システムに負けているのはサッカー日本代表だけではない?
一つ一つの局面では日本代表が有利にボールを持ち、圧倒的に攻めているかのような数字も残していますが、サッカーというシステムで本当に大事なところでは不利な戦いにはまってしまっていたのです。
このような不思議さがサッカーの魅力でもありますが、私たちが応援する日本代表がサッカーというシステムに負けると本当に悔しいですね…。
ただ、このような局面で勝利してシステムで敗れる…という戦い方、日本産業でも時に見られるものかもしれません。
たとえば、日本でしか作れない超高精度で超ローコストのセンサーを開発したとします。これで「素晴らしいセンサー」という局面では勝利しているかもしれません。
しかし、そのセンサーを組み込むシステムがなければセンサーの使い道がありません。結局のところシステムを開発して普及させたほうにセンサー導入の決定権も、納入価格の決定権も持っていかれてしまいます。
わかり易いシステムの例としてはiPhoneやAndroidスマホが挙げられます。日本はハイテク大国と信じていた私は、iPhoneやAndroidスマホのようなものは日本から始まって欲しかったのですが、残念ながら今は海外製のスマホを使っています。よく調べれば日本製の部品も入っているのでしょうが、日本企業が安く納入させられていないか心配になることもあります。
局面で勝利して、システムで敗れる…なんとも悔しい現実ですね。もしかしたら、日本にはシステムで勝利するという文化がまだ根づいていないのかもしれません。ぜひ、根付かせたいですね。
日本企業がこのような負けパターンを繰り返さないためにも、まずはサッカー日本代表にサッカーというシステムでの勝利を掴んでいただきたいものです。
日本の未来のためにも、サッカー日本代表を応援しましょう!
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杉山 崇(脳心理科学者・神奈川大学教授) 大人の杉山ゼミナール、オンラインサロン「心理マネジメントLab:幸せになれる心の使い方」はでメンバーを募集中です。心理学で世の中の深層を理解したい方、もっと幸せになりたい方、誰かを幸せにしたい方、心理に関わるお仕事をなさる方(公認心理師、キャリアコンサルタント、医師、など)が集って、脳と心、そしてより良い生き方、働き方について語り合っています。