日本代表は何に負けたのだろう?

ただ、不思議です。圧倒的に攻め込んでいながらなぜ日本代表は敗れたのでしょうか?

識者が敗因を様々に考察しています。

たとえば…

ターンオーバー(中心選手の疲労を取るために選手を入れ替える)を狙ったことで攻撃の連携が崩れた 試合運び(勝ち狙いor引き分け狙い、など)における意思統一ができていなかった 失点直前の日本守備陣のプレーが中途半端だった(ボールを失ったプレーが注目されがちですが、得点を決めた選手を誰もマークしていませんでした) 日本代表の切り札とされる三笘薫をうまく使えなかった

・・・などなど。すべて正しいのだと思いますが少々複雑ですね。忙しい方々のためにシンプルに表すと要は下の図のような事態に陥っていたのです。そして、この構図は日本企業の負けパターンにもよく似て見えるのです。

コスタリカ代表の守備と日本代表の攻撃のイメージ

コスタリカ代表の中央の3バックに対して1トップ2シャドーの形で1対1で争うシステムを構成。その周りでもほぼ常に1対1以上の形を作られボールは持ててもゴールに迫れない。

サッカーというシステム

サッカーとはシンプルなシステムのスポーツで、ゴールという限定された空間にボールを入れれば勝利、入れられれば負けです。お互いに、ユアボールなら守備ブロックを組み、マイボールなら敵の守備ブロックの隙間を抜けてゴールを狙います。

そして足でボールをコントロールするので、ボールを持つ選手は必然的に持っていない選手よりも動きの自由度が下がります。ボールをキープするだけならボールを持つ選手が有利ですが、狭い空間に入り込むのは動きの自由度が高いほうが有利です。ボール扱いの名手と言えども、ディフェンダーに邪魔されながらシュートを打てるスペースに入り込むのは簡単ではありません。だからなかなか得点が入らないスポーツなのです。

システムを上手に活かしたのはコスタリカ代表だった

こういう場面で、得点を奪うには守備ブロックに隙間を作ってボールを扱うスペースを作るプレーが必要になるのです。ですが、これは実は人数をかけて攻め込めば攻め込むほど難しくなります。

図のように狭いスペースに密集してしまうからです。日本代表はコスタリカ代表にこの難しい形を「作られた」というわけです。

たとえばスペイン代表のペドリのようにポジショニングの微調整で上手にスペースを作り出せる選手がいて、空いたスペースの使い方の相互理解があればコスタリカ代表のように護るチームからも得点できますが、先日の日本代表はそれができませんでした。

逆に攻め込んだことで空けてあげてしまった自陣ゴール前のスペースで、一瞬フリーにしてしまったケイセル・フレールにゴールを決められてしまった…というゲームだったのです。