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「記事を書く上では池上彰さんを参考にすると良い」 「池上解説は執筆の役に立つ」

普段こんな風に執筆指導をすることがある。「要するに池上解説みたいに難しいことを分かりやすく説明しろって意味でしょ」と思った人も多いだろう。

もちろんその通りなのだが「難しいことを分かりやすく説明する」を実践するのはかなり難しい。TVで池上彰さんのような人が他に居ないことを考えるとその難易度は理解して頂けるだろう。そして「難しいことを分かりやすく」は難しいだけではなく、誤解もかなり含んでいる。

「池上解説」の番組がゴールデンタイムで流れていることを考えれば、難しいことを分かりやすく説明できた場合、そのコンテンツはテレビであろうとウェブであろうと極めて高い価値を生む。池上解説のような記事を書くにはどうしたら良いか? その本質に迫ってみたい。

「池上解説」という専門性

池上彰氏Wikipediaより

池上さんが有名になったきっかけはNHK教育で放送されていた「週刊こどもニュース」だ。子ども向けにニュースを解説する番組を11年間も続けたことで「難しいことを分かりやすく解説する」ノウハウを獲得し、同時にその高い価値に気づいたのではないかと思う。

池上さんがNHKを退職したきっかけは、解説委員になりたかったが専門分野を持っていないから無理と上司に言われたことであるとインタビューで答えている。しかし池上さんは難しいことを分かりやすく解説するという「専門性」を持っていた。それが池上解説だ。

「難しいことを分かりやすく解説する」。一言で終わってしまうようなスキルだが、その意味する所は実は極めて深い。当初、執筆指導で池上さんのように難しいことを分かりやすく書くように、とアドバイスをしたところ、アドバイスの意味を誤解して“簡単な話”を書いてしまう人もいた。