最近では、飲料だけでなく、さまざまな商品を販売している自動販売機があちこちに設置されている。今回は、その中でも特に異彩を放っている自動販売機を紹介したい。浅草に設置されている、とある自動販売機。一見するとお茶の自動販売機に見えるのだが、近づいてみると…?さて、一体何を販売しているのだろうか。

自動販売機で買える「高級だし」!?

ある日街を歩いていた筆者は、喉の渇きを覚え、飲料を求めることにした。タイミングよく、目の前にはお茶の自動販売機と思しき物体が。これ幸いと近づいてみて、びっくり! なんと「だし」の自動販売機だったのだ。

「だし道楽」と書かれたその自動販売機、下部には丁寧に英語で「だしの自動販売機。飲むべからず」という注意書きまでしてある。 売られているのは500mLのペットボトル入りの、焼きあご一尾が丸ごと入っただし、その名も「だし道楽」。このインパクトたるや、思わず喉の渇きも忘れてスマホで撮影し、家族に報告してしまったほどだ。

販売元は広島県の「二反田醤油」

さて、こちらの自動販売機。販売元は広島県江田島市にある、しょうゆ・だしの製造販売会社「二反田醤油」。 なんでも、「店の閉店時間でもだしを購入したい」というお客からの要望がきっかけで、2007年に広島県で自動販売機を設置したのだとか。 その後、じわじわと全国に販路を拡大。2022年9月現在で、全国25都道府県に自動販売機が設置されている。

SNSを中心に人気沸騰中!

インパクト大の「だし道楽」の自動販売機はSNSを中心に話題沸騰。口コミで人気が広がっている。何でも、だし道楽の売り上げのうち、実に7割が自動販売機によるものだというのだから、販売戦略としては大成功といえるだろう。

筆者もインパクトにつられて「だし道楽」を1本購入。うどんのつゆに試してみた。ほんのり甘めの味わいの中に焼きあごの風味と香ばしさが感じられて美味。リピートもアリだな……と思っている。

自動販売機って儲かるの?

自動販売機のビジネスモデルには、「場所貸し型」と「オーナー型」がある。

場所貸し型の場合は、自動販売機を設置するスペースを貸し、設置者からマージンを受け取る。オーナー型は小売業と同じで、仕入れる商品を自ら選び、手元に利益が残るように自分で価格を決めて販売する。

自動販売機を設置するスペースを用意できれば、誰でも許可やライセンスなしに自動販売機ビジネスを始められる。特に、場所貸し型はハードルが低い。

場所貸し型は、自動販売機を設置する際の初期費用がかからないケースが多い。設置者は設置場所を用意し、電気代を負担するだけでマージンを受け取ることができる。初期投資ゼロのビジネスモデルなので、始める人が多いわけだ。

マージンの相場は販売代金の10〜20%で、例えば1ヵ月の売上が5万円の場合は、5,000円〜1万円だ。そこから電気代が差し引いて、残った金額が利益になる。

自動販売機の電気代はホット飲料とコールド飲料の割合や大きさによっても変わるが、1ヵ月2,000〜5,000円ほどだ。省エネ性能が高い自動販売機の場合は、2,000円程度に収まることが多い。

好立地なら1日5万円、1ヵ月150万円の売上が上がることもある。その場合は相当のマージンが入ってくるため、「自動販売機ビジネスはやめられない」という人は少なくない。

各地に増えているユニークな自販機

今回紹介した「だし道楽」の自動販売機のように、一般的な飲み物意外にもユニークな自動販売機が増えている。旅行先などで見かけたら、記念に買ってみるのも良い経験になりそうだ。

文・MONEY TIMES編集部