街の至るところで目にする飲料の自動販売機。現在、日本では200万台以上が設置されている。自動販売機の数が多い理由はシンプルで、儲かるビジネスモデルだからだ。自販機に関する統計とともに、儲かる仕組みを解説しよう。

飲料の自販機は全国に228万4,600台

日本自動販売システム機械工業会の統計によれば、飲料の自動販売機の台数は2020年12月末時点で228万4,600台。人口減少に伴って減ってはいるが、それでも200万台というのはかなりの数だ。

なぜ、ここまで自動販売機は普及したのだろうか。その理由は、自動販売機のビジネスモデルにある。詳しく説明しよう。

ハードルが低いのは「場所貸し型」

自動販売機のビジネスモデルには、「場所貸し型」と「オーナー型」がある。

場所貸し型の場合は、自動販売機を設置するスペースを貸し、設置者からマージンを受け取る。オーナー型は小売業と同じで、仕入れる商品を自ら選び、手元に利益が残るように自分で価格を決めて販売する。

自動販売機を設置するスペースを用意できれば、誰でも許可やライセンスなしに自動販売機ビジネスを始められる。特に、場所貸し型はハードルが低い。

場所貸し型は、自動販売機を設置する際の初期費用がかからないケースが多い。設置者は設置場所を用意し、電気代を負担するだけでマージンを受け取ることができる。初期投資ゼロのビジネスモデルなので、始める人が多いわけだ。

マージンは販売代金の10〜20%

マージンの相場は販売代金の10〜20%で、例えば1ヵ月の売上が5万円の場合は、5,000円〜1万円だ。そこから電気代が差し引いて、残った金額が利益になる。

自動販売機の電気代はホット飲料とコールド飲料の割合や大きさによっても変わるが、1ヵ月2,000〜5,000円ほどだ。省エネ性能が高い自動販売機の場合は、2,000円程度に収まることが多い。

好立地なら1日5万円、1ヵ月150万円の売上が上がることもある。その場合は相当のマージンが入ってくるため、「自動販売機ビジネスはやめられない」という人は少なくない。

資産運用の手法は株式投資だけじゃない

現在、日本でも資産運用ブームが起こりつつある。税制優遇が魅力の「NISA」(ニーサ)や「iDeCo」(イデコ)で多くの人が金融商品への投資に挑戦するが、自動販売機ビジネスに投資するのも立派な資産運用だ。

資産運用の選択肢に加えてみてはいかがだろうか。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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