<事例2>食のテーマパーク
<事例2a>小池都知事記者会見 2017/06/20
小池百合子東京都知事:築地市場につきましては、5年後を目途にして再開発をしていく。そして、環状二号線でございますが、オリンピック前に開通をさせます。そして、その後、築地市場の跡地は当面オリンピック用のデポ、輸送拠点として活用します。その後、食のテーマパーク機能を有する新たな市場として、東京をけん引する一大拠点とするという考え方です。それから二番目。豊洲中央卸市場ですが、冷凍、冷蔵、物流、加工などの機能をさらに強化することによって、将来にわたる総合物流拠点にもなりうるという考え方です。(中略)築地と豊洲、築地のブランド力と地域の魅力を一体化させた食のワンダーランドを作りたいと考えてます。
<事例2b>小池都知事記者会見 2019/01/25
記者:築地の跡地の再開発についてですが、先日まちづくりの方針の素案が出て、MICE中心に整備をしていく案が示されたということの評価と、一方で大規模集客施設とか交流施設という話はありますが、知事としては、どのような施設のイメージが望ましいと考えられますか。
小池百合子東京都知事:あの23ヘクタールという大規模な、某新聞社の真ん前にある素晴らしいロケーションです。都として活用するパブリックの部分と、それから国際的なさまざまな、「舞台」と称していますが、「都民に開かれた舞台」ともなる大規模集客・交流施設という形で築地まちづくりの素案に書いてあるわけです。そこは、ウェルネスであるとか、文化・芸術など、さまざまな取組を行うというような形で、東京ブランドが創造・発信されるMICEであるべきと考えて、その考え方が盛り込まれたということです。
記者:知事の元々のご発言では、一昨年6月の段階では食のテーマパーク機能を有する新たな市場として整備するという発言があって、そことの整合性がどうなっているのか。当時イメージしたのは、築地にも市場機能が残ると多くの人が思ったと思いますが、魚介や青果を取引するような市場機能を持たないのであれば、それとは違う形になると指摘されています。ご説明お願いできますか。
小池都知事:市場機能については、豊洲市場を中核的な卸売市場にしていくとかねがね申し上げてきました。また、市場移転に関する関係局長会議の中では、将来、築地に戻ることを希望する仲卸業者に応えるための方策に関しての検討を、豊洲市場移転後の状況を踏まえながら行うという発言があります。まずは市場の状況を見る必要もあろうかと思っております。それから、食のテーマパークというのは、いろいろ捉え方にもよることだと思いますが、ウェルネスの部分でも、食というのも一つの課題ではないかと思います。むしろ大きな発想でもって、この築地という地域をしっかりと活用していただければと思っています。
「築地は守る、豊洲を活かす」「築地を食のテーマパーク機能を有する新たな市場として、東京をけん引する一大拠点とする」という曖昧な築地再整備計画を宣言して2017年の都議選で大勝利した小池都知事ですが、『小池劇場』が幕を下ろし、計画の破綻が顕在化すると、都民に対して明確な説明もなく計画を大きく方向転換しました。
その整合性を問われた小池都知事は「検討を豊洲市場移転後の状況を踏まえながら行う」という過去に局長会議であった一つの発言を根拠にして「まずは市場の状況を見る必要もあろうかと思う」とする曖昧な回答をしました。結局は「食のテーマパーク」という言葉自体が曖昧な表現であったということです。
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