<事例1>都政はブラックボックス

<事例1a>テレビ朝日『モーニングショー』 2016/08/02

玉川徹氏:(豊洲市場の移転問題についての)報道に対する(東京都の)姿勢なんですけど、いかがですか。

小池百合子東京都知事候補:多分私をお選びいただけるのならば、私の最大の味方はメディアになると思います。そう言う意味では情報公開は積極的に行っていきたいし、メディアの皆さんがいろいろとチェックをしていただく、それとともに進めて行きたいと思っています。

<事例1b>テレビ朝日『モーニングショー』 2016/08/04

小池百合子東京都知事候補:(税金のムダをどうやってなくすかについては)まず情報公開ですね。情報公開することによって普段から何らかの形で伝えるのが結局都政改革に繋がる。つまり予算に無駄がないかどうか。情報が出ないときは私に言って下さい。できるだけその情報を出させるようにします。そういう形でまず情報公開しなければ都政改革は進まないと思いますよ。私は何度も「ブラックボックス」と言っているんだから「ブラック」でない「ボックス」をお見せるのが一番必要なことだと思う。

<事例1c>小池百合子都知事記者会見 2017/08/10

記者:豊洲市場の移転問題について、知事が公表した豊洲と築地と双方に市場機能を残す方針について、財源や運営費など検討した記録が都に残ってないことが毎日新聞の情報公開請求で明らかになりました。最終判断が知事と顧問団による密室で下されて、情報公開という知事の方針に逆行するという指摘もあります。知事の所見をお願いします。

小池百合子都知事:情報というか、文書が不存在であると、それはAIだからです。最後の決めはどうかというと、人工知能です。人工知能というのは、つまり政策決定者である私が決めたということです。回想録に残すことはできるかと思っていますが、その最後の決定ということについては、文章としては残していません。「政策判断」という一言で言えばそういうことです。

小池百合子東京都知事候補は、都政における過去の自民党の「政策判断」を「ブラックボックス」と非難し「情報公開」を公約に掲げることで都知事に当選しました。しかしながら、その重要政策である豊洲市場移転問題に対する小池都知事の政策決定プロセスは、曖昧で検証不可能な「ブラックボックス」そのものでした。

小池都知事は、自分をAI(人工知能)に喩えて、客観的根拠を示さない自身の意思決定を「政策判断」であると正当化しました。これは過去に自民党が行ってきた「政策判断」のプロセスと全く変わりがありません。そもそも【分析判断 analytisches Urteil】が不可能で【総合判断 synthetisches Urteil】が必要となる事案は、選挙を通じて負託を受けた市民の代表が「政策判断」で意思決定するしかないのです。

なお、非線形な数式処理の集合体であるAI技術は数学的には典型的な「ブラックボックス」に他なりません。