経済対策には感染症対策の強化も含まれています。これまでもその多くの対策が補助金・給付金であり、対象の不公平さやプロセスの非効率さを抱えたまま、危機に直面する度に場当たり的な施策を繰り返しています。このため、2019年から3年間で予算計上した新型コロナ関連事業の予算のうち、およそ2割が未執行だったことが会計検査院の調べで分かりました。

補助金・給付金がほとんどを占める日本の経済対策は、残念ながら失敗だったのではないでしょうか。総理に見解を伺います。

世界の多くの国は、今般の危機に対する経済対策において、補助金・給付金だけでなく、減税を選択しました。公平感が強く、効率的で、また需要喚起効果も大きいことが指摘されています。そして、減税を中心とする経済対策を行っている国では、いわばその予算執行率が100%近くなっています。そもそも集めず、ばらまかずという政策は、支出面を見れば執行率が高くなります。

親しい政策効果を持つ給付と減税を比べて、給付が過度に優先されるのは、既得権を維持するためのバラマキであるとの批判を免れることはできません。執行率が低くなる補助金・給付金を選択し、執行率が高くなる減税を中心とする経済対策を選択しない理由を総理に伺います。

我々日本維新の会は、このコロナ禍の今こそ、次の世代への徹底投資を高らかに掲げ、推し進めるべきと考えます。出産費用や授業料などについては、無償化への一歩を今こそ踏み出すべきです。今回、補正予算案に出産・子育て応援交付金事業が入りましたが、

この創設される出産・子育て応援交付金事業に、出産費用や子育てに係る費用については無償にするべきという理念・目的は含まれているのでしょうか、総理に伺います。

短期の財政支出こそ、将来世代への投資を第一に考える必要があります。授業料無償化、給食費の無償化、出産費用の無償化を補正予算で明確に位置づけるべきではないかと考えますが、あわせて見解を伺います。

日本維新の会は、出産費用無償化の具体策として、出産にかかる医療を保険適用とし、自己負担分となる3割については「出産育児バウチャー(クーポン)」を支給することで、負担が一切生じることなく出産できる環境を実現することを提案してきました。他方、政府は、出産育児一時金の財源の一部を、後期高齢者医療制度でも負担することを検討しています。

全世代で出産費用を負担する仕組みを創るという思想背景には、保険制度の原理原則である、共助の思想が見て取れます。これは「出産の保険適用と、税財源に基づくバウチャー制度のミックスによる出産費用無償化」という維新案を採用する、まさに道筋にもなりえると考えますが、いかがでしょうか。総理の所見をお伺い致します。

安全保障分野について伺います。北朝鮮からの度重なるミサイル発射など、日本を取り巻く環境は一層厳しさを増しています。防衛力の抜本的な強化を検討する政府の有識者会議の議事要旨によると、防衛費の増額の財源は所得税の引き上げなどの意見がありました。

総理は有識者会議の意見に対して、どのように受け止め、また防衛費増額に必要とされる財源はどのようにあるべきと考えますか。見解を伺います。

国防の観点から防衛費を増額が必要であることは論をまちませんが、増税は家計と経済に多大なる影響を及ぼします。足元の経済状況を考えれば、短期的には臨時国債で対応しながら、増税ではなく行財政改革と経済成長で財源を捻出することを目指すべきと考えますが、総理の見解を伺います。

今日の安全保障上の脅威は容易に国境を越えます。特に、サイバー分野は「目に見えない戦争」と呼ばれ、その脅威は日に日に増しております。サイバー防衛を担う専門家を飛躍的に増やし、またサイバー防衛を担う自衛隊に対しては、アクティブ・サイバーディフェンス実施のため、不正アクセス禁止法、不正指令電磁的記録罪を適用除外とするなど、対応を検討していくべきと考えますが、見解を伺います。

新型コロナ第8波の対応について伺います。政府は都道府県に対して、行動制限をともなわない要請や呼びかけとして、「対策強化宣言」や「医療非常事態宣言」ができる仕組みを新設することを公表しています。しかし、なぜこのタイミングなのか、まったく理解に苦しみます。経済活動の正常化をするべきこの時期に、地方自治体に宣言の判断を押し付ける仕組みは、国の責任の放棄と考えますが、見解を伺います。

旧統一教会の被害者救済法案についてです。先週概要が示された政府与党案は、被害者救済においては残念ながら極めて不十分な内容です。被害者家族や被害者弁護団からも、失望の声が多く上がっています。私にはこれが、総理の意思を十分に反映されて作られたものだとは思えません。15幹事長会談で本案が示される前に、岸田総理は内容について理解・承認をされていましたでしょうか、伺います。

とりわけこの新法では、禁止する寄附行為が消費者契約法の改正案とほぼ同一内容となっており、これでは新法によって被害者を救済するという総理の決意が満たされたことになりません。16我が党が提案している内容を踏まえ、新法にふさわしい内容へと修正するべきと考えますが、総理の所見をお伺いいたします。

最後に、身を切る改革について伺います。多くの国民がコロナの影響や物価高で苦しい生活をしいられています。国会議員の歳費2割カットにつき、7月末で期限が切れましたが、維新の会は自主的に2割カットを継続しています。物価高局面にある現在、再開することが望ましく、国民の理解を得られると考えますが、総理の見解を求め、質問を終わります。

編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2022年11月22日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。