ヒートテックの素材

さまざまな化学繊維のもつ原理を利用

このような複数の仕組みを成立させるために、ヒートテックにはいくつかの種類の化学繊維が採用されています。レーヨンやマイクロアクリルと呼ばれる化学繊維です。

ヒートテックの重要素材「レーヨン」

このなかでも特にレーヨンは言うなれば湿気、すなわち水分を吸着するのに特化した化学繊維で、マイクロアクリルはその名前から連想するとおり細かな繊維をもつ化学繊維です。このアクリルは保湿という機能に特化しています。

他に、ポリウレタンやポリエステルがこの素材には利用されています。

暖かい衣料品の正当進化形

化学繊維と聞くと、何やら冷たい印象を抱く方も多いかもしれませんが、ヒートテックの原理は古くから衣類全般が持っていたものを、さらに向上させたに過ぎません。言うなれば、「防寒衣類の正当進化」とも呼べる素材がヒートテックです。

ヒートテックの弱点.1

汗を吸収する仕組みが弱点となる

ただ、どれだけ素晴らしい発明品にも必ず何か弱点があるように、ヒートテックにも弱点があります。

この素材はレーヨンという化学繊維のもつ原理を利用して、体から出る水分を効率的に吸収することで熱エネルギーを生み出しているのですが、このレーヨンのもつ原理が弱点となってしまいます。

大量に汗をかく場面では仕組みに支障が

レーヨンは確かに水分を吸収する原理があるのですが、あまりにも効率的に体から出る水分を吸収してしまうために、激しい運動で大量に発汗した場合にはすぐに「水分貯蔵限界」にまで達してしまうのです。

これが限界に達してしまうと、この素材の熱発生の仕組みに支障がでてしまいます。

水分を吸収するが乾きにくいという原理

そして、さらにもう一つレーヨンという化学繊維には弱点があります。

それは「完全に濡れた状態から乾ききるまでに時間を要する」という点です。すなわち、スポーツなどで大量に発汗したあとでまた十分にヒートテックが機能できるほど乾ききるには長い時間がかかってしまうということです。

仕組みと原理を理解して対処を

そのため、スポーツや屋外作業などで利用する場合にはあらかじめヒートテックを複数枚用意して、休憩時間に体をタオルで拭いたあとで着替えるなどの工夫をした方がよいでしょう。