日本の企業が陥りやすい失敗
特に日本の企業に多い失敗が、3つ目の「明快な期待内容」が欠けていることです。全体としての目標はあったとしても、仕事の役割分担や評価基準、責任の所在などが曖昧で、目標が達成できなくてもどこに原因があるのか特定できないような状態です。
このような状況では仕事のこだわりや評価基準も人によってバラバラになります。ある人はスピードを重視し、ある人は品質を重視し、仕事のお見合いや、問題が起きたときに責任のなすりつけ合いが起こりやすくなります。
サッカーに例えるなら、守備範囲が曖昧な状態で試合が始まれば、当然みんなバラバラな動きをしますし、失点しても誰が悪いのかわからないですよね。
また、こっそり手を抜いてもバレにくい仕組みになっていることもたしかですし、テレワークのスタッフであればなおさらです。
でもあらかじめやることが明快に示されていたら、テレワークであろうがやっていなかったら気付かれます。新事業であればやるべきことのチェックリストまでは作れないかもしれませんが、一応の到達目標や評価基準、責任の範囲程度は示せるはずです。
欧米のような、もともと決められた仕事しかしないような働き方は日本の文化には馴染まないかもしれませんが、日本でももう少し仕事の内容や責任の範囲を明確にした方がよいケースは多々あります。
まとめ公正なプロセスとは、事業の戦略を決める段階からスタッフに関与してもらって、戦略を決めた理由をスタッフ全員に説明し、それぞれのスタッフに明快な期待内容を述べることです。
言われてみればあたりまえのことばかりかもしれませんが、言われないと忘れてしまいがちなことばかりです。
私自身、3つのEを意識するようになってから、在宅スタッフにもミーティングに参加してもらい、なるべく戦略の全体像や目標、進捗状況などを説明したり、意見を聞いたりするようにしました。それにより、チームとして前向きに仕事に取り組めるようになったと実感しています。
ぜひ3つのEを実践して、新事業を成功に導いてください。
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板山 翔 税理士・経営戦略コンサルタント 「オンライン専門の税理士事務所」として開業。自社の事業を税理士業ではなく、経営に必要な情報をオンラインで提供する事業と捉え、経営戦略コンサルタントとしても活動。従業員5名以下の小さな会社の経営者を中心に、小さな会社だからこそできる差別化戦略の立て方や、短期間で売上アップするためのマーケティング戦略、長期的に資産を形成していくための財務戦略などを伝えている。
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2022年11月16日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。