第二パラグラフ
山口:昔、時代劇で萬屋錦之介が悪者を退治するときに、「てめーら人間じゃねえ!叩き斬ってやる!」と叫びました。私も同じ気持ち。もちろん暴力を使うわけにはいきませんが、安倍に言いたい。お前は人間じゃない!叩き斬ってやる!民主主義の仕組みを使って、叩き斬りましょう!叩きのめしましょう。
(※ このパラグラフにおける山口氏発言の「!」の後には、聴衆の「そうだ!」という合いの手が入っている。)
ここでは、勧善懲悪が明瞭な時代劇を引き合いに出し、暗に「自分たちの側に正義があり、安倍首相は悪の存在である」というイメージを聴衆たちに想起させています。その上で「もちろん暴力を使うわけにはいきませんが」とリスクヘッジの枕詞を付けつつ、明瞭に発信します。以下焦点となる発言を抜粋のうえ検証します。
問題発言1:「安倍に言いたい。お前は人間じゃない!叩き斬ってやる!」
これは完全に安倍晋三氏個人に向けた人格攻撃です。この前後にどんな文言を添えようが人格攻撃ではないと釈明することは不可能です。まず「人間ではない」と主張する根拠が前段の論証であるならば全く妥当性を見出せない断定です。続く「叩き斬ってやる」は言われた側に殺傷の予告と受け止められたとしても、仕方がないでしょう。受け止め方は十人十色ですが、「暴力を使うわけにはいきませんが」と前置きしたからと言って、言われた側の精神的なダメージや恐怖感はほとんど緩和されないでしょう。
問題発言2:「民主主義の仕組みを使って、叩き斬りましょう!叩きのめしましょう。」
これも比喩表現のつもりでしょう。政府に対してこれほど攻撃的な言辞が許されるのはまさに民主主義が日本で機能しており、彼らがそれを満喫している証拠です。しかし、自らは安全な場所から、絶対反撃してこないことがわかっている政府に対して、苛烈な言葉で罵るその様は、私から見ると卑怯な行いの極みに感じます。
発言資格に訴える論証(「お前が言うな」)や権威主義は個人的には忌避する話法ですが、それを使って人格攻撃する人に対しては敢えて適用します。
人を教導する立場にある大学教授が、多数の聴衆の面前で、誤謬に基づく人格攻撃や煽情的な言辞を声高に叫び、聴衆を扇動することこそ「人でなしの所業」なのではないでしょうか。「殺人教唆的な言葉をぶつけられる側の心を慮らない」その言動は、本当に人間らしいです。人間の暗黒面を晒しているという意味で。
第三パラグラフ
切り取りとならないために、最後まで文字起こしを続行しますが、以降の発言にあまり深い意味はありません。
山口:我々のこの行動、確実に、与党の政治家を圧迫し、縛っています。与党がやりたいこと、次から次へと先送りしてこの戦争法案に最後の望みをかけていますが、我々の力でこの安倍政権の企みを粉砕し、安倍政権の退陣、これを勝ち取るために、今日の二倍三倍の力でもって、一層戦いを続けていこうではありませんか。(不鮮明な声援) 皆さんのこれからの努力、我々の協力をお誓い申し上げてわたくしの挨拶と致します。ありがとうございました。(拍手)
司会:ありがとうございました。民主主義の刀で叩き斬りましょう。ありがとうございました。