目次
3. 広報ご担当から直接伝授! 牧野植物園はこうやって楽しむ
4. 牧野植物園はこうやって巡ろう!おすすめルート
3. 広報ご担当から直接伝授! 牧野植物園はこうやって楽しむ
それでは、いよいよ牧野富太郎博士とそのゆかりの植物についてもっと知るために、高知県立牧野植物園に向かってみましょう!
しかし、とても広大な園内では、どこを見るべきか、どんなルートで巡ったら良いか、迷ってしまうかもしれません。そこで今回は牧野植物園を知り尽くす広報ご担当の橋本さんに、直接お話を伺いました。
お話を伺ったお相手:公益財団法人 高知県牧野記念財団 広報課 主幹 橋本 渉 様

- 牧野植物園は、来園される方にどのようなことを伝えたいと思っておられますか。
橋本さん「牧野植物園は、日本で唯一、人名を冠した植物園です。名前に"牧野"とつくことに、どんな意味があるか、それを知ってもらうために、まずは来園いただきたいです。そして、人生をかけて植物への愛情を伝えようとした、牧野富太郎博士という人物像に触れてもらいたいと思います。その先に、植物を大切にするという気持ちを持っていただけるのであれば、非常に嬉しいです」
- 来園者はどんな方が多いのでしょうか?
橋本さん「もともとは、植物好きで少しご年齢が高めの層の方が多かったように思いますが、2019年に『ふむふむ広場』や『こんこん山広場』が整備され、ピクニックやイベントを楽しめるエリアができた結果、近年は若いご家族連れなどが急速に増えています」
- とても広い園内ですが、どのようにゾーン分けされているのでしょうか?
橋本さん「園内は、大きくいえば、北園と南園に分けられます。北園はやや学術的な要素が強く、牧野博士ゆかりの植物や高知県に自生する植物などが中心で、どちらかというとワイルドなイメージと言えるかもしれません。また、牧野富太郎記念館などもあり、牧野博士についてじっくり学んでいただくことができます。一方、南園は、園芸植物や温室など、鑑賞用の植物が多くあります。年間を通してお花を楽しんでいただけるのも、南園です」
― これだけ植物が多いと、管理や整備上のご苦労なども色々おありかと思います。
橋本さん「牧野植物園は、植物の自然な姿をお見せしたいので、庭園のように、植物をきれいに刈り込んだりはしません。しかし、いくら自然とはいっても、放置していれば植物が伸び放題になり、植物園としてはとても見づらいものになってしまいます。そのため、例えば切り口が見えないように繊細に剪定をしたり、手入れをした時の人間の足跡が土に残らないように消したりするなど、一見すると気付かないようなところに膨大な手間がかかっています」
- どこを見ても、とても観察しやすい園内ですが、裏側にはやはり努力が必要なのですね。
橋本さん「山の上ですので、雨水を集めるのも大変です。牧野富太郎記念館はその点に配慮した建築になっていますが、それでも苦心しています。また、ここはもともとの土壌が固いので、植物が育てられるようになるまで何度も土壌を改良するなど、大変な思いもしました」
- 県立植物園として、研究施設という一面もあると思いますが、その方面ではどのようなことに注力しておられますか。
橋本さん「大きく分けて3つあります。1つは、県内の植物の多様性を守るために行う、野生植物の分布や絶滅危惧種、外来植物の調査などです。2つ目は、資源探査研究です。これは、簡単に言えば人間の役に立つ植物や成分を見つけ、それらを活用するための研究です。東南アジア、中でもミャンマーは主な調査地のひとつです。3つ目は、薬用植物の栽培研究です。植物の廃棄されてしまうところなどから何か活用できないか、調査研究を行い、植物による産業振興、地域振興につなげようとしています。」
- 今後ますます多くの方に、ご来園いただきたいですね。
橋本さん「植物園というところは何が面白いのかよくわからない、という方も実はたくさんおられます(笑)。でも、それでも構わないので、1度は足を運んでいただきたいと思っています。まずは難しく考えず、ただお散歩したり、お弁当を食べたりして自然を感じていただくだけでも十分です。そうした中から、なじみのある植物が実は牧野博士にゆかりがあるものだった、など小さな発見があると面白くなってきます。実は高知市内からアクセスも良いので、遊び気分でいらしてみてください」
園内を注意してみていると、静かに清掃をするスタッフの方々と頻繁にすれ違います。「ありのままの自然に近い状態を、さりげなく再現する」という大変難しい仕事が、多くの熱心な裏方さんによって支えられていることを実感します。
4. 牧野植物園はこうやって巡ろう!おすすめルート
続いて橋本さんに園内の見どころと、効率的に回るルートを教えていただきました。

所要時間は、少なくとも2時間、できれば3時間~4時間は取っていただきたいとのことです。熱心なファンの中には、1日中滞在する方も珍しくないそうですよ。
早速行ってみましょう!
4.1 正門
駐車場、またはバス停からすぐのここからスタートします。

4.2 土佐の植物生態園
正門を入るとすぐに、ワイルドな高知県自生の植物がお迎えしてくれます。必見のポイントです。



4.3 ふむふむ広場
本来は、葉っぱの1枚も取ってはいけない植物園。しかしこのふむふむ広場だけは、実際葉っぱをちぎったり、もんで匂いを嗅いでみたりと、五感を使って楽しむことのできる広場だそう。この日はあいにく曇り空でしたが、晴れていれば景色も最高です!

4.4 牧野富太郎記念館/本館・展示館と中庭
牧野富太郎博士の写真や資料が充実した記念館。また、この記念館は山の稜線になじむデザインと、環境に配慮した機能性を両立させた建築が特徴で、建物を目当てに来られる人も多いとか。



また、牧野富太郎博士ゆかりの植物が多く見られる中庭も必見です。

展示館内では、少年期・青年期・壮年期・晩年期と、時を追いながら牧野富太郎博士の生涯を知ることができます。博士が描いた植物図など、多数の貴重な資料や写真とともに紹介される仰天エピソードには、きっと驚かれることでしょう。

4.5 牧野富太郎博士銅像~50周年記念庭園
続いては牧野富太郎博士の銅像にご挨拶しつつ、南園ゾーンの庭園へ。ここでは季節ごとに植物が入れ替えられ、いつでも何かしらのお花が見られます。




4.6 温室
植物園といえば温室というイメージの方も多いかも?季節や天気を問わずゆっくり過ごせるのも嬉しいところです。南の島に行った気分で、珍しい植物を楽しみましょう。




4.7 こんこん山広場
桜、つつじ、紅葉、落葉、と季節ごとに楽しみの変わるこんこん山広場。ファミリーでピクニックもできるのんびりスペースです。


4.8 ゴール!
園内にはひとつひとつの植物に丁寧な名札や説明書きがあり、じっくり読みながら写真を撮っていると、時間があっという間に過ぎていきます。

筆者はかなり急ぎ足で巡っても、このコースでゆうに2時間かかりました。アドバイス通り、少なくとも3時間~4時間は取って、ゆっくり鑑賞されることをおすすめします!
また、園内はバリアフリーでかつ勾配がなるべく少ないように配慮されているものの、やはり山の上なので、アップダウンを感じる箇所もあります。必ずスニーカーなど歩きやすい靴で来園してくださいね。