誘いのベースは「オモリトントン」

カワハギ釣りを難解にさせるのは、その釣り方の複雑性であり、魚の活性に合わせて手や目に伝わるアタリの明確さも大きく変わってくることだ。釣り人は魚の活性を把握し、誘いや仕掛けのコントロール、食わせの間の時間をアジャストしていくことが求められる。

とはいえ、初めてカワハギに挑戦する人や初心者には、海中での仕掛けの動きや魚のエサを追うスピードの違いなどをイメージしづらいもの。そこで、私も実戦している釣り方をお伝えしたい。

ベースとなる釣り方として勧めたいのが、仕掛けを投入し、オモリが着底したらすばやくイトフケを回収。そして、3~5秒に1度のタイミングで30~50cm程度オモリを持ち上げては再び着底させる『オモリトントン』での誘いだ。

オモリで海底をトントンさせるだけ……という単純な誘いだが、この動きのなかには誘い上げた際には仕掛けにテンションが掛かる時間が生まれ、オモリが着底したときにはテンションが抜ける動きとなる。

また、船が潮流や風によって移動するのに合わせて、仕掛けが新しい場所へ入る「根歩き」の要素も加わるので、同じ誘いを繰り返すだけでも、フレッシュな状態でアプローチし続けられるメリットがある。

中オモリや集器で変化をつけよう

さらに、聞きアワセやタルマセ、ゼロテンションといった誘い方の要素が詰まっているだけでなく、オモリトントンのスピードを速めれば、エサを食わせない焦 らし的な誘いであるタタキ釣りの要素も加わっている。単純な誘いではあるものの、カワハギ釣りに求められる誘いが総合的に詰まった釣り方と言えるだろう。

ただ、同じ誘いが通用しない時間帯が訪れるのも、カワハギ釣りの常。そのような場面では、視点を変える意味で、仕掛けの上部に割ビシタイプのオモリを中オモリとして装着したり、専用の集器を装着することも一手だ。

その場合も、誘い方は同じくオモリトントン。オモリで底を叩く誘いを続けていても、中オモリや集器を装着することで仕掛けの動きがイレギュラーになるため、今まで口を使わなかった魚が突如食い出すということもめずらしくない。

ゲストも含めて魚の活性が高ければ、オモリをトントンと動かすなかで明確なアタリが伝わってくる。活性が低いときは、必ず食わせの間として仕掛けの動きを止める時間を作り、下オモリを持ち上げず仕掛けにテンションを掛けないゼロテンションのポジションで見極めていこう。