自治体が複業人材を受け入れる3つのメリット

自治体が複業人材を受け入れる際の壁について解説してきましたが、もちろんメリットもたくさんあります。

①職員の意識改革、スキルアップに繋がる

弊社では、複業クラウド for Publicを導入している首長から「職員の意識改革、スキルアップに繋がる」と声が寄せられることが多くあります。

民間人材の仕事の進め方や考え方は、行政職員の通常業務に還元できます。

例えば、民間人材が当たり前のように設定している“KPI”の手法、会議の進め方や議事録の取り方、期限の切り方(タスク期限の考え方も含め)、新規事業や企画の立ち上げ方、アイデアの出し方などが挙げられます。

②官民連携による住民サービスの向上

民間の複業人材のノウハウや知見を取り入れることは、間違いなく住民サービスの向上に繋がります。

「民間人材の常識が行政の非常識」「行政の常識が民間の非常識」というケースがほとんどですが、これは決して悪いことではありません。むしろ双方をブレンドすることでいい化学反応を起こすことができます。

実際にメール文化の自治体がSlackを導入したり、紙ではなくPDFでやり取りをして生産性を上げたりと、これまで多くの官民連携による化学反応が生まれてきました。

③関係人口の増加

自治体における複業人材登用は、基本的にオンラインで受け入れます。全国各地から人材を募集することができるため、関係人口の増加につながります。弊社の取り組みでも、プロジェクト終了後もその地域に関わり続ける複業人材が多いです。

DXや広報人材を募集する自治体が激増

複業人材を必要とする多くの自治体は、DXや広報の人材を募集します。

DXにおいては、総務省が掲げる「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」の推進を命じられている自治体にとって、急務の課題となっています。

しかし、DXという新しい領域についての知見がない自治体は少なくありません。そこに民間でのDX経験や知見のある人材が「DXとはそもそも何なのか」を整理したり、課題に対して多くの手数を一緒に練ったりするだけで、現状はプラスへと変わります。

例えば奈良県三宅町では、DXアドバイザーがDXに関する勉強会を開き、職員全員のDXに対する認識を揃えました。そして、DXに関する84個の課題を抽出し、そこから課題解決のための173のアイディアを提示したそうです。

また、広報においては、多くの自治体が「時代に合わせた広報のあり方」を外部人材から求めているようです。

行政サービスが多様化している中で、広報の手法も幅広くなっています。例えば、自治体の発信媒体として広報誌が挙げられますが、今ではホームページやSNSなど、さまざまな媒体が存在しています。

自治体が発信したい内容も、若者に届けたい情報や市外の人に届けたい情報など、多種多様です。広報戦略の部分から変える必要がある今、広報のトレンドやノウハウを持っている人材が求められているのです。

実際に、兵庫県三木市では3名の複業人材を登用し、情報発信指針(案)の作成や、数値目標の設定、目標達成に向けた加速策の検討などを行いました。その結果、2022年1月~3月の全国紙掲載数は昨年の11件に対し15件と増加しました。