日本文化を象徴するコンテンツが外国人の関心を引いた

——lit.linkの閲覧数のうち10%は海外によるものということですが、日本語版しか存在しない中で、なぜ海外からのアクセスが多いのでしょうか。

小原:これは私たちが仕掛けたわけではありません。日本のアニメやVTuberなどが海外で注目を集め、コンテンツを発信する中でlit.linkが活用されたことにより、外国人の登録者数が増えたのです。それを受けて「日本語版だけでこれだけニーズがあるのならば英語版も作ってみよう」という流れになりました。

——どの国からのアクセスが多いのですか?

小原:インドネシア、台湾が多く、あとはマレーシア、タイ、韓国などのアジア圏、そのあとにアメリカが続きます。

エンタメ大国・韓国に進出

——今後、どの地域にフォーカスしようと考えていますか?

小原:アジア圏のトップクリエイターが集まっている韓国で展開していこうと考えています。

——韓国のクリエイターにユーザーになってもらうことで認知度を上げる戦略でしょうか。

小原:lit.linkは、ユーザーがページを公開すると、ファンや共感した人が集まり、さらにそれを見た人によってコミュニティが生まれる仕組みです。エンタメが盛んな韓国は、それが見込みやすいと考えています。

——マーケティング施策として、今後は何を実施する予定ですか。

小原:今回リリースする英語版は、英語圏だけでなく韓国ユーザーも内包しています。なぜ韓国に重点を置くかというと、韓国には「ファンダム」と呼ばれる特徴があるからです。

通常、アーティストがトップにいて、それに憧れるファンがいるわけですが、韓国にはファンがアーティストを育てる文化があります。広告媒体にアクションを起こすことよりも、ファンダムに沿った機能を開発することがマーケティングにつながると考えています。

韓国では、アーティストのクラウドファンディングが盛り上がっています。例えば日本だとCDを出す際にレコード会社が製作費を用意しなくてはなりませんが、韓国の場合は、ファンが製作費を集めて目標額に達成したらCDの制作に取り掛かるという流れがあります。

すでにアーティストを応援するプラットフォームやカルチャーがあるので、お金が集まることを促進する連携機能や、ファンとアーティストとクリエイターを繋げる機能を作っていくことがマーケティングに繋がると思っています。

初めての海外展開でゼロから構築していくのはリスクが伴うので、すでに基盤のある会社と私たちのネットワークを繋げていくことを戦略としています。

——韓国の次にターゲットにしている国はありますか。

小原:重点的に攻めたいのは人口が多いインドです。ただしクリエイターの属性の違いなどをリサーチしきれていないので、次の国については具体的な計画はありません。

——lit.linkはローカライゼーションの影響を受けずに海外進出ができそうだと思っていましたが、クリエイターを巻き込むことを重視しているので、ローカライゼーションや、ローカルパートナーと組むことが重要になるのでしょうか。

小原:ほかのサービスに比べると、現地法人を立てなくてはならないといった障壁はありませんが、アーティストとファンの関わりが国によって違うので、最適化は必要です。