日常的な買い物こそソーシャルEC
——日本においてソーシャルECにはどのような商品が向いているのでしょうか?
深谷:シェアというアクションが入ってくるので、「口コミしやすい商品」「おすすめしたくなるような商品」が向いています。例えば、カウシェではメイン利用者が主婦なので、日常的に使う炭酸水やお米などが売れています。
——口コミを書いてもらいやすい商品はありますか?
深谷:食べ物はシェアしやすく、誰もが購入するものなので口コミを書いてもらいやすいでしょう。 また、日用品も使ってみた感想を投稿しやすいと思います。そのほか、まだ使ったことがない商品に対して、「誰かと一緒に買いたい」と期待を込めて口コミをするケースもあります。
——日常的な商品が広がる現象は面白いですね。
深谷:シェア買いの特徴として「お得に買えること」が主婦層の気持ちに刺さっているのだと思っています。また、ECで買い物をするメリットとして、お米といった重いものを運ばずに済むという理由から日用品や消耗品の購入が多いのではないかと考えています。
——取り扱っているのは主婦向けの商品が多いのですか?
深谷:確かに男女比は3:7で女性が多く、またメインのお客様は主婦です。しかし、ビールを買っても、それを実際に飲むのはパートナーという「購入者=主消費者でない」場合もあります。、そのため、さまざまなユーザーの需要に合わせた商品を取り揃えています。

カウシェのサービスの変遷。食品から始まり、現在では日用品、家電、美容コスメカテゴリーを取り扱う。
深谷:いろいろな用途がありますが、LINEのオープンチャットを開くのがルーティーンになっていて、通勤時間や子どもが寝た後に「何かいいものがないか」「誰かがシェアをしているから買ってみよう」と気に留める人が増えてきています。ソーシャルECは、ウィンドウショッピングをする感覚に近づいていると感じています。
——スーパーよりも安く買えることだけではなく、人と繋がる楽しさに魅力を感じている人がいるということですか?
深谷:例えば、ある主婦が「いいものを安く買った」という話を家族にしても、あまり共感を得られないかもしれませんが、同じ主婦の方に話せばシンパシーを感じてもらえる可能性があります。そのようなな繋がりを、SNSを通じて求めている人が多いのではないかと推測しています。
——逆にソーシャルECに向いていない商品はありますか?
深谷:ニッチな商品はシェア買い成功のハードルが高くなります。何かに特化しているものや、特定の人にしか需要がないものはシェアと言うスタイルにマッチしにくく、口コミが少なくなるかもしれません。